2019/07/04LROニュース(6)

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  • 2019.07.05 UP
    2019/07/04LROニュース(6)
    • 【1】アブサヤフが漁民を10人誘拐
      • 【1】6月18日、マレーシアのサバ州沖で10人の漁民が武装集団に誘拐され、被害者はテロ組織アブサヤフの拠点である比南部のシタンカイ島に連れていかれたと現地警察は見ている。警察によれば、武装集団は18日午前2時頃、サバ州のラハッダトゥ沖で2隻の高速ボートで漁船2隻に接近し、漁民のうち10人を誘拐、6人を放置している。ラハッダトゥ沖では海賊掃討のため夜間外出禁止が施行されており、事件発生時は許可時間外であった。マレーシア当局によれば、被害者は海上でマレーシア、インドネシア、フィリピンを行き来する「海のジプシー」で、フィリピン南部では差別の対象としてアブサヤフに狙われ、マレーシアでは市民として扱われていない。サバ州知事はこの誘拐事件の被害者にはマレーシア人はおらず、「近隣国の漁民」のみであると述べている。
      • 原文 June 18, 2019, The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【2】世界海洋協議会と世界気象機関が連携協定を締結
      • 【2】6月20日、世界海洋協議会(World Ocean Council: WOC)と世界気象機関(World Meteorological Organization)が海洋気象と海洋観測の分野における長期連携協定を締結した。具体的には、海洋・気象・気候に関する情報の収集に海事産業が果たす役割について、両機関が連携していく枠組みが協定で定められている。従来海事企業の中には、研究機関等の要請に応じ、研究機関が海洋・気象情報を収集するための観測機器等を自社の船舶や固定施設に設置することに協力してきたが、WOCが実施するSMART Ocean-SMART Industries事業は、こうした従来からの自主的な協力をより制度的・戦略的に規模を拡大することを目指しており、今後とも同事業に参加する海事企業数の増加を図っていく。
      • 原文 June 20, 2019, WMO(長谷部正道)
    • 【3】DNV GL: 水素燃料の将来的可能性
      • 【3】6月4日、DNV GLが水素燃料の将来的可能性について報告書を取りまとめたところその概要は以下のとおり。①輸送機関の燃料として、水素は陸上交通機関においては、燃料電池の燃料として、自動車・バス・トラックに採用されており、船舶の動力源として水素を利用することについても、現在いくつかの重要な課題について開発・研究事業が進められている。②水素を燃料として使用した場合、水蒸気が排出されるだけで、いかなる排気ガスも排出しない点において環境性能に優れているが、水素自体を生産するときにも同様に環境に負荷を与えない形で持続的に生産できるか?持続可能な供給体制の構築ができるかなどをさらに検討する必要がある。③2017年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で世界の先進的な企業経営者たちは「水素協議会(Hydrogen Council)」を創設し、水素を燃料とした燃料電池の商業化のために大規模な投資を行い、2050年までに世界の全体の燃料の18%を供給し、年間6ギガトンのCO₂の排出を抑制することを目指すことに合意した。
      • 原文 June 4, 2019, DNV GL(長谷部正道)
    • 【4】カナダの現行の炭素課税のレベルではパリ協定の目標に達せず
      • 【4】カナダの議会予算局(Office of the Parliamentary Budget Office)は、6月20日、パリ協定の履行のために必要な炭素課税制度の強化について報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①パリ協定の下で、カナダ政府は2030年までに2005年実績比で地球温暖化ガス(Greenhouse Gas)の排出量を30%減らし、513メガトン(Mt)にすることを約束している。②加政府が現在決定している「カナダの環境と気候変動(Environment and Climate Change Canada)」に基づく対策を実施すると、GHGの排出量は2016年の704Mtから2030年には616Mtに減少する見込みで、2022年にはCO₂1トン当たり50ドルまで燃料税が増税される見込み。③さらに「土地利用・土地利用変更・森林(Land Use, Land Use Change and Forestry)」部門からの削減分を合わせると2030年にはGHG排出量を592Mtまで削減することが可能。④しかし、パリ協定の約束水準と比べると、2030年までにさらに79MtのGHG排出量を追加削減する必要がある。
      • 原文 June 20, 2019, カナダ議会予算局(長谷部正道)
    • 【5】H&Mがマースクによる世界で初めての炭素中立輸送を試験利用
      • 【5】「オランダ持続可能な成長連合(Dutch Sustainability Growth Coalition)」とシェルが共同で開発し、「国際持続可能炭素認証(International Sustainability & Carbon Certification)」を受けた使用済みの料理油等をブレンドしたバイオ燃料を使用したコンテナ船の運航をマースクは試験していたが、技術的にも運航面でも使用できることが確認されたので、マースクの顧客の中で持続可能な物流を目指す顧客に炭素中立輸送を提案したところ、世界的な衣料品ブランドであるH&Mが、製品の輸送・物流に伴うGHG削減の観点から、マースクの新たな炭素中立輸送を試験的に利用することを決定した。燃料の生産から輸送を含む燃料のライフサイクルとして排出される総GHG量を比較すると、従来の燃料油を使用するのに比べて、バイオ燃料油を利用すると85%のGHGを削減することができる。H&Mグループは2040年までにClimate Positive(炭素中立を超えて既存の炭素回収を目指す)を達成するという高い目標を掲げている。
      • 原文 June 20, 2019, Maersk(長谷部正道)
    • 【6】化石燃料料金補助金が再生可能エネルギーに対する補助金の2倍に
      • 【6】2018年には、平均的な原油価格が前年を上回ったため、世界全体で化石燃料料金の引き下げのために使われた補助金の総額は対前年比1/3以上増えて4千億ドルを超え、再生可能エネルギーに対する補助金総額の倍以上となった。原因としては、いまだに多くの政府が所得の低い国民のためにエネルギー料金を人為的に低く据え置くために補助金を投入する一方で、再生化可能エネルギーが燃料供給に占める割合は未だ相対的に低いため、補助金額が多くならないことが考えられる。しかし、化石燃料を安い価格で利用できることは、化石燃料の使用を促進し、化石燃料から再生燃料への転換速度を遅らせることになっている。国際エネルギー機関(International Energy Agency)は、今後脱炭素化にむけてエネルギー供給体制の転換を進めていくためには、化石燃料使用料金の引き下げのための補助金は廃止する必要があるとしている。
      • 原文 June 20, 2019, Energy Post(長谷部正道)
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