2019/07/02LROニュース(6)

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  • 2019.07.03 UP
    2019/07/02LROニュース(6)
    • 【1】解凍した永久凍土から放出されるCO₂の量は全米から排出される量と同量
      • 【1】全世界の永久凍土には、約1兆5000億トンの炭素が含まれており、この量は大気中に存在する炭素の量の2倍、森林に蓄積されている炭素の量の3倍にもなる。このままのペースで永久凍土の解凍が進めば、2100年までに、現存する永久凍土の7割が、人類が化石燃料の使用を大幅に削減した場合は3割がそれぞれ解凍する。永久凍土が解凍すると凍土中に含まれていた有機物質が微生物によって分解されCO₂あるいはメタンとして大気中に放出される。永久凍土の解凍により発生する炭素のうち約1割がCO₂として大気中に放出されるとするとその量は1300-1500億トンとなり、2100年までに全米から排出されるCO₂とほぼ同量になるが、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)が現在使用している気候変動モデルには、永久凍土の解凍に伴い排出されるCO₂の量は考慮されていないため、永久凍土解凍から排出されるCO₂を人々は、炭素爆弾と読んでいる。
      • 原文 June 12, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【2】マースクが北極海北航路を利用したサービス提供についてRosatomflotと協議
      • 【2】マースクは2018年の夏に、同社のコンテナ船を北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)で試験運航したが、その試験航海の結果として、海氷の影響で年間3か月しかNSRを利用できないので、NSRを利用するのは採算に合わないとコメントしていた。しかし、極東からロシア西部向けのコンテナ貨物が増えているので、ロシア国営の砕氷船運航会社であるRosatomflotと連携して、NSRを利用したサービスを提供することを協議中であると、6月14日発表した。同社は現段階では自社のコンテナ船をNSRに直接就航させるのではなく、ロシア側が用意する船舶を利用してサービスの提供を検討している模様。
      • 原文 June 14, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【3】船舶金融機関が協調して海運の脱炭素化を促進する事業を開始
      • 【3】船舶金融業務を行うCiti/Societe Generale/DNBなど合計で約1000億ドルの船舶金融貸付残高を持ち、船舶金融の世界シェアを2割程度持つ世界の主要銀行11行が連携して、海運の脱炭素化を金融の面から促進するPoseidon Principle(PP)を創設した。参加金融機関は個別の船舶金融の実施にあたり、対象船舶から排出されるCO₂の排出量を考慮して、融資の可否を決定し、各行が実施した船舶金融の環境への影響を評価し、定期的に公表する。船舶の環境性能については、海運から排出される地球温暖化ガス(Greenhouse Gas: GHG)総量を可及的速やかの減少に転じ、2050年までに2008年の実績比で50%削減するという2018年4月にIMOで合意されたGHG戦略を基準とする。PPは融資・船舶のリース・輸出信用を含む債務保証を行う会社に適用される。今後、中国の大手金融機関を含む参加金融機関を増やして年末までに世界全体の船舶金融に関与する金融機関等の約9割の参加を促す。
      • 原文 June 18, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】米軍高官がペルシャ湾の米軍の作戦に対するより多くの国の支援を求める
      • 【4】米統合参謀本部副議長は6月18日、ペルシャ湾の原油輸送への脅威に対抗することは米国一国の問題ではなく、ホルムズ海峡とペルシャ湾の石油輸送から経済的利益を受ける国々が責任を分担すべきであると述べた。副議長は、イラン・イラク戦争時に米軍は多くの外国籍タンカーを護衛し、イランと武力衝突を起こしてきたが、米国が中東から多くの原油を輸入していた当時とは状況が異なり、現在はペルシャ湾の原油は多くがアジアの5か国に輸入されているが、いずれもイランの振舞いを阻止するのに熱心ではないとしている。この5か国には中国、日本、韓国、インドが含まれ、いずれも強力な海軍を有している。副議長は、米軍がこの地域の安全確保を放棄することを意味するのではないとしながら、オマーン湾でのタンカー攻撃について、イランの仕業であると証拠が示していると述べ、イランによる国際社会に対する挑戦であると強調した。
      • 原文 June 18, 2019, USNI News(武智敬司)
    • 【5】USCG: ITインフラサービスの外注化を検討
      • 【5】USCGは、ITシステムの一部をクラウドに移行するIT整理統合計画について、提案を募集している。この計画は、USCGのIT業務を民間業者に委託し、サイバーセキュリティとネットワーク最適化を容易にするものであり、USCGの2018-22年度戦略計画から生じたもので、サイバーセキュリティの強化とITインフラの効率化を図るものである。USCGのネットワークには世界中で823の拠点の54,000人以上のユーザーが存在するが、現状のネットワークは10年以上前のマイクロソフト製のOSに基づいている。
      • 原文 June 17, 2019, fedscoop(武智敬司)
    • 【6】タンカー攻撃:イランの意図と危険な戦略
      • 【6】一連のタンカーに対する攻撃について専門家は、攻撃にイランが関与しているとすれば、イランが世界の石油供給に脅威を与え得ることを示そうとしたことは明らかで、米国等の反イラン諸国がイランに対する圧力を更に高めることを抑えようとの意図があると分析している。米国は昨年イラン核合意から離脱しイランへの制裁を再開し、先月にはイランの脅威への対抗として空母打撃群や戦略爆撃機、パトリオットミサイルを周辺に配備するとともに中東への1000人以上の規模の増派を表明しているが、イランはこれに屈する様子はない。米国はイランへの最大限の圧力でイランを抑止すると想定していたが、実際のところ明らかに逆効果になっている。イランはジェットスキーや高速ボートなど低コストで相手に大きな被害を与える非対称戦術を取ることができるとともに、「タンカー戦争」と呼ばれたイラン・イラク戦争期に得た知見を有している。しかしイランにとっても危険な点は、偶発的事件が一気に事態を悪化させる恐れがある点である。イランが危険な賭けに出れば、最終的にはイランの手に負えない戦争になるかもしれない。
      • 原文 June 18, Reuters(武智敬司)
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