2019/06/25LROニュース(6)

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  • 2019.06.26 UP
    2019/06/25LROニュース(6)
    • 【1】MPAがMEPC 74の結果を踏まえた改訂版の「IMO 2020」ガイドを発表
      • 【1】シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority: MPA)はシンガポール船主協会(Singapore Shipping Association: SSA)と協力して、先日IMOで開催された第74回海上環境保護員会(MEPC 74)の結果を踏まえて改訂された、シンガポール船籍船向けとシンガポールに寄港する船舶向けの2種類のIMO 2020規制ガイドを、6月13日開催されたMPA・SSA共催の「IMO 2020 Global Sulphur Limit」セミナーで公表した。MEPC 74の結果を反映した内容としては、具体的にPort State Controlにおける規制不適合油の取り扱いに関するガイダンスやシンガポール港に寄港した船舶の船上において燃料油をサンプリングする方法に関するガイドラインなどが取り上げられている。また、MPAは船舶燃料供給事業者と協力して、規制適合燃料油・舶用ガスオイル・LNGなどの供給体制の整備を進めており、シンガポールで給油する船主のためにMPAのウェブサイトで免許を受けた船舶燃料供給事業者のリストを公開している。シンガポールに寄港する船舶向けの改訂されたガイドは以下のリンクを参照。
      • 原文 June 13, 2019, MPA(長谷部正道)
    • 【2】トランプ大統領の北極戦略とノルウェーへの影響
      • 【2】トランプ政権下は確固たる北極政策を確立してはいないものの、国務長官のステートメントや国防総省の新北極戦略からいくつかのサインを読み取ることができる。中国については、今のところ北極への関与は僅かではあるが、米国務省や国防総省は中国の北極における経済的・戦略的野望を問題視している。これは北極に限ったことではなく、トランプ政権が可能な限りあらゆる分野で中国の台頭を阻止しようとする強い意志が表れている。露については、北極の安定と協力に対する脅威と表現されており、露による2014年のクリミア併合以来変わらぬ表現ぶりである。ノルウェーは海上・陸上で露と国境を接し露からその対応能力を常々試され、またバレンツ海での軍事活動を監視されている。北極での中国の存在もまたノルウェーの国益を害しかねない。これと同時に、国境の町Storskogでの国境を越えた協力に象徴されるように、ノルウェーは露との建設的な関係に完全に依存している。また、ノルウェー企業も現政権も、2010年の劉暁波氏へのノーベル平和賞授与以降の中国との関係の改善を望んでいる。ノルウェーは一部の分野では自国の利益と矛盾することはあっても、中国の利益を避けることはできない。米国はノルウェーの最も重要な同盟国であり、ロシアに対抗した合同演習も行われているが、ここにノルウェーの強力なカードがある。即ち、北極におけるロシアに対する守護神であり、架け橋の役割である。米国が北極において敵味方の二元論を主張すれば、露と国境を接する小国ノルウェーはピンチに陥る。ノルウェーは米国の有力者に対し、その脆弱な立場を理解させるよう努める必要がある。
      • 原文 June 12, 2019, High North News(武智敬司)
    • 【3】COSCOがこの夏に北極海北航路の通過航行を14回予定
      • 【3】2013年に中国遠洋海運(China Ocean Shipping Company: COSCO)の子会社である中国遠洋特殊海運(COSCO Specialized Carriers Company)が中国の船舶で最初に北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)の通過航行を成し遂げた。その後、同社は2015年に2回、2016年に6回、2017年に5回、2018年には8回のNSRの通過航行を行ってきている。2019年にはCOSCO自体が、アジアから欧州に向けて6回、欧州からアジアに向けて8回の通過航行を計画しており、既に何回か分は露の北極海北航路庁(Northern Sea Route Authority)から運航計画の許可を得ている。
      • 原文 June 13, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【4】タンカー攻撃が安倍首相の「ミッションインポッシブル」を打ち砕く
      • 【4】(論説)今回の安倍首相のイラン訪問は、米国とイランの間の調停に加えて、両国の間の紛争がエスカレートすれば、原油価格が高騰し日本経済に大きな打撃を与えることを回避するという実利的な目的もあったが、今回のタンカー攻撃でこの懸念が図らずも現実化した。第1次石油危機以来、米国と日本は異なる中東政策をとってきたが、核武装した北朝鮮や拡大する中国の影響に対処するため、日米両国の同盟関係は強化され、中東政策についても米国の政策を支持せざるを得ない状況に日本は追い込まれている。先日のトランプ大統領訪日の際に、安倍首相からイランとの仲立ちを申し出、米大統領からの委託を受け、その後、安倍首相はイスラエル首相・サウジの皇太子・アブダビの皇太子などとの調整を試みたが、短期間で仲裁の道を切り開くのは容易なことではなかった。
      • 原文 June 13, 2019, Asia Times(長谷部正道)
    • 【5】北極圏への関与を強める米国海軍
      • 【5】アラスカ州には豊富な陸・空軍勢力や沿岸警備隊が配置され、海軍はアラスカ北岸の海氷下で潜水艦の訓練を実施しているが、昨年10月までの約30年間、空母が北極圏を航行することはなかった。今年5月には空母打撃群が10年ぶりに大規模演習の一環でアラスカに寄港している。国防総省は北極での軍事衝突の可能性は低いと見ているが、露や中国の活発な活動には警鐘を鳴らしている。2018年の政府のレポートは、海氷融解により北極の天然ガス、鉱物、漁業など豊富な資源へのアクセスが可能になり、主権主張競争に繋がるとしている。ボルトン米大統領補佐官は、米軍は今後、北極で米国の影響力を「主張する」役割を担うと述べている。現状において、北極での米軍のプレゼンスは最小限である。また、ほとんどの米海軍水上艦艇は氷海での運用を前提に設計されていないことが、米海軍にとって最大の障害である。現状、造船所には北極で運用可能な水上戦闘艦艇の建造能力が欠けていると専門家は指摘している。数年にわたる調査を経ても、国防総省は北極近海で永続的に海軍プレゼンスを示すための戦略的港湾の場所や設計の選定に至っていない。そして軍が北極で作戦可能としても、北極の海は年間の多くで固く凍っており、露が巨大な原子力砕氷船を含む40隻以上の砕氷船を有しているのと対照的に、米軍は2隻の砕氷船が稼働しているだけである。
      • 原文 June 12, 2019, National Public Radio(武智敬司)
    • 【6】米政府:2019年連邦予算から港湾機能改善に2億9273億ドルの支出を決定
      • 【6】2019年統合予算分配法(Pub. L. 116-6)に基づき、米議会は「港湾インフラ開発計画(Port Infrastructure Development Program: PIDP)」に係る補助金予算額として2億9273億ドルの分配を承認した。このうち、2億ドルは喫水20フィート以上の船舶が入港できる全ての港湾を対象とした港湾機能改善補助金で、残りの9273億ドルは陸軍工兵司令部(US Army Corps of Engineers)が指定する15のコンテナ港湾に投資される。PIDPは補助金申請要領(Notice of Funding Opportunity)に定められた申請基準に従い、競争的に各港湾に補助金が配分される。
      • 原文 June 12, 2019, MARAD(長谷部正道)
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