2019/06/24LROニュース(6)

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  • 2019.06.25 UP
    2019/06/24LROニュース(6)
    • 【1】 フィンランドが北欧で最大のLNGターミナルを完成
      • 【1】 ボスニア湾北端のフィンランドのトルニオ港のそばのMangaに建設された北欧最大で5万㎥LNGの貯蔵能力を持つターミナルは、2017年11月からLNGの受け入れを始めていたが、追加的な補修と試験が必要となったため、1年以上遅れて商業的な完全運用が開始されたと、6月11日、同ターミナルの維持管理を10年間担当するバルチラが発表した。同ターミナルは、LNGの荷下ろし・貯蔵・パイプライン輸送・再ガス化・トラック輸送・船舶に対するLNGバンカリングなどの機能が備わっている。このターミナルから製鉄所・船舶・フィンランドとスウェーデンの地元企業にLNGが供給される。同ターミナルは、ロシアのバルト海沿岸のヴィソツク港にノヴァテクが建設した新たな小規模LNG製造プラントからLNGを主として受け入れるが、ノルウェー等の他の供給源からもLNGを受け入れる予定。


      • 原文 June 11, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【2】 EMSAが「2018年版:油濁対応パンフレット」を発表
      • 【2】 欧州海上保安機関(EMSA)は6月11日、流出油防除に関するEMSAの業務概要を説明したパンフレットを公表した。EMSAは、①各種の流出油防除資器材を装備した油防除対応船ネットワークの構築 ②ドローンによる汚染監視や船舶からの排出油の特定 ③油防除資器材の備蓄と加盟国への供与 ④衛星による排出油監視(CleanSeaNet) ⑤ケミカル汚染事故対応に必要な情報提供や専門的アドバイスの提供(MAR-ICE Network) ⑥ケミカル汚染対応の初期対応支援に特化した、物質の性状情報の提供(MAR-CIS) の業務を実施している。
      • 原文 June 11, 2019, EMSA(武智敬司)
    • 【3】 WWFが地中海におけるプラスチックごみ問題の報告書を発表
      • 【3】 世界自然保護基金(World Wildlife Fund)が、地中海におけるプラスチックごみに関する報告書(Stop the Flood of Plastic: How Mediterranean countries can save their sea)を発表したところ、その概要は以下のとおり。①地中海では年間約57万トンのプラスチックごみが水中へ排出され、これは1分間に約33,800本のペットボトルが海に廃棄されるのに相当する。②プラスチックごみ問題に対して何の対策も講じなければ、2050年までに地中海地域におけるプラスチックごみの量は4倍になると予想される。③プラスチックごみ汚染による経済的な損失は年間6億4,100万ユーロと推定され、観光産業が最も影響を受けている。④生産された半数以上のプラスチック製品はその1年以内に廃棄されているが、ほとんどリサイクルや再利用はされておらず、プラスチックごみのほぼ3分の1が管理能力不足によって、回収されないままか、違法な埋め立て地等で処理され、河川に流れ、最終的には海に排出される可能性が高い。⑤地中海におけるプラスチックごみ汚染解決のための地中海沿岸国政府に対する提言としては、2030年までに自然界にプラスチックごみが流入することを防止する法的拘束力のある地域協定を締結し、この目標達成のため相互に協力する。⑥また、使い捨てプラスチック製品の製造等を禁止し、プラスチック製品製造者の製造物責任を拡大してプラスチックごみ対策に責任を持たせる。⑦全てのプラスチック製品が回収、再利用、リサイクルされるため、効率的なプラスチックごみ管理制度の創設のために投資が必要になる。
      • 原文 June, 2019, WWF(田中亜季)
    • 【4】 EC: 海運分野における将来的なGHG削減方法を検討した報告書を発表
      • 【4】 6月11日、欧州委員会は「国際海運における地球温暖化ガス削減目標を決定するための方法に関する研究(Study on methods and considerations for the determination of greenhouse gas emission reduction targets for international shipping)」を発表したところ結論部分の概要は以下のとおり。①2018年4月に採択されたIMOの地球温暖化ガス(Greenhouse Gas: GHG)戦略においては今世紀中のできるだけ早い時期に船舶からのGHGの排出をゼロにするとされている。②この目的を達成するために、船舶は内燃機関を引き続き使用しつつも、化石燃料は使用せずに、バイオ燃料または持続可能な方法で発電された電気によってつくられた燃料を使用することとなる。③海運業界全体が化石燃料から脱却するに必要な実際に商業的に利用できる技術は現在存在せず、陸上ですでに試験されている技術を船舶向けに開発する必要がある。④世界的な炭素予算(Global Carbon Budget: GCB)を、現在海運分野から排出されているGHGのシェアで割ると、1.5℃目標を達成するためには2030年までに合計4-9Gt、2℃目標を達成するためには合計10-20Gtしか海運分野から炭素を排出できないので、現状では年間約1Gtの炭素が海運分野から排出されていることを踏まえると、海運分野における炭素削減のための努力を早急に始める必要がある。
      • 原文 Jun 11. 2019, EU(長谷部正道)
    • 【5】 北極海第2LNG事業の積出ターミナルの整備計画が承認される
      • 【5】 2022年から操業開始が予定される北極海第2LNG事業のLNG積出基地となるUntrennyターミナルの整備計画が国家専門家委員会から承認された。同ターミナルの整備は7段階に分けて進められ、初めの3段階は航路や必要となる航行支援設備といった国家が保有するインフラの整備が行われる。新たな航路は水深が浅いオビ湾から積み出しターミナルまで大型LNG運搬船が安全に航行できるように整備される。後期の4段階は、民間による投資が行われる予定で既存の岸壁の改良等が行われる予定。必要となる投資コストの26.57%が連邦予算から、残りは民間投資で賄われる予定。同事業の原料となる天然ガスは1兆9800億㎥の天然ガスと1億500万トンの原油を埋蔵するジタン半島のサルマノフスカヤ石油・ガス田から調達される。
      • 原文 June 12, 2019, The Barents Observer(長谷部正道)
    • 【6】 カナダ北極海:近代的な水路学上の調査と正確な海図の作成が不可欠
      • 【6】 (論説)より安全で効率的な海運の実施のためには、正確な海図が必要であり、正確な海図の作成のためには、水路学的な調査情報の更新が必要となる。カナダの北極海のうちわずか8%の海域しか近代的な基準で水路学の調査がなされていないにもかかわらず、現在建造中のカナダ海軍の新しい北極海哨戒巡視船に水路学的調査に必要なMulti-Beam Echo Sounders (MBES)の装備が予定されていないのは残念である。カナダ水路部(Canadian Hydrographic Service)が所掌する近代的な水路学的調査を支援するため、カナダ沿岸警備隊(Canadian Coast Guard: CCG)の4隻の砕氷船には既にMBESが装備され、さらに今後2年以内にさらに2隻の砕氷船にもMEBSが装備される予定である。北極海における海氷の減少により、2018年には167隻の船舶が400回以上北極海を航海しており、船舶の航行数の増加は海難事故の増加につながり、正確な海図作成の必要性は増すばかりである。2018年8月17日には近代的な海図が不十分なヌナブトのブーシア湾でクルーズ船の座礁事故があり、CCGの2隻の砕氷船が救援に出動した。
      • 原文 June 11, 2019, The Maritime Executive(長谷部正道)
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