2019/06/13LROニュース(6)

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  • 2019.06.14 UP
    2019/06/13LROニュース(6)
    • 【1】独:国連安保理事会が紛争防止のために気候変動問題に取り組むことを提案
      • 【1】独は2019年から2021年までの間、国連安全保障理事会の理事国となるが、この機会に安全保障理事会の機能を事後的な紛争解決だけでなく、気候変動対策に重点を置いた紛争の予防的な活動にまで拡充すべきであるという提案を行っていくと6月4日、独外相は独外務省主催の会議で発言したところその概要は以下のとおり。①現在の国連安全保障理事会は、危機・紛争・戦争が実際に発生し、具体的には誰かが飢え・干ばつ・武力衝突等で亡くなってからでないと問題の処理に取り掛からない。②気候変動は干ばつ・穀物の凶作・洪水・土地利用を巡る紛争・新たな難民の流出の原因となっており、安全保障委員会が気候変動対策に取り組めば、これらの危機・紛争・戦争を未然に防止することができる。③国連安全保障理事会がこうした予防的な気候変動対策に取り組むためには、行動を起こすための引き金(Call for Action)の仕組みを作る必要がある。④このため独外務省は気候変動影響を研究するポツダム研究所と共同で、食糧安全保障の観点から、サハラ砂漠南縁部のサヘル地域でこうした早期警報制度の開発を進めている。
      • 原文 June 5, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【2】次期欧州理事会議長国のフィンランドが2035年までに炭素中立達成を宣言
      • 【2】フィンランドは1か月以上の連立交渉の結果、5党による連立政権が結成され、8年間続いた緊縮政策を脱し、雇用数の増加と燃料税の増税について合意した。気候変動対策については、森林・湿地や新技術によって回収される炭素以上の炭素を排出しないという炭素中立を2035年までに達成することで合意した。隣国のノルウェーは2030年までの炭素中立を目指しているが、フィンランドはノルウェーのように外国からの排出権の購入を前提とせずに、2035年までの完全炭素中立を目指す。同国の既存の気候変動対策法(Climate Act)においては炭素中立を2045年までに達成することとなっているので、法改正が必要となり、併せて、2050年までに炭素排出量を差し引きマイナス(carbon negative)とすることを同法の中で位置づける。フィンランドは7月1日にルーマニアから半年間の欧州理事会議長国を引き継ぐので、議長国の間にEU全体としての2050年までに炭素中立を達成するための気候変動対策の取りまとめを目指す。
      • 原文 June 5, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【3】健康に有害なSOx排出量に関する大型クルーズ船と自動車の比較
      • 【3】6月4日、環境団体の「交通と環境(Transport & Environment)」が、大型クルーズ船が排出する健康に有害なSOxの量を自動車から排出される量と比較した報告書を発表した。その概要は以下のとおり。①クルーズ船業界最大手のカーニバル社が運航する47隻の大型クルーズ船から排出されるSOxの量は、2017年に欧州全体の2億6千万台の自動車が排出したSOxの量の約10倍になる。②国別にみると、スペイン・イタリア・ギリシャ・フランスにおいてSOx汚染が深刻で、港湾別にみるとバルセロナ港・マヨルカ島のパルマ港・ローマのチビタベッキア港・サザンプトン港の順で汚染がひどい。③これらの国・港湾の汚染がひどいのはクルーズ船の寄港が多い観光地であることに加え、船舶燃料油中の硫黄含有分規制が緩いので、クルーズ船が硫黄分の多い船舶燃料を使用できることも原因となっている。
      • 原文 June 4, 2019, 交通と環境(田中亜季)
    • 【4】ABS: Low Carbon Shipping Outlookを発表
      • 【4】米国船級協会(American Bureau of Shipping)が、「海運における低炭素化の見通し(Low Carbon Shipping Outlook)」を発表したところその概要は以下のとおり。①本アウトルックにおいては、IMOにおいて合意された2030/2050年に向けた船舶から排出される地球温暖化ガス(Greenhouse Gas)の削減目標を達成するために必要な船舶の技術・運航効率の向上・代替燃料動力源を明らかにし、今後取り組まなくてはいけない課題を船主が理解し、船舶運航の低炭素化へ移行するために必要な選択肢を船主が効率的に評価できるように支援することを目的とする。②2030年までの目標を達成するためには、運航速度の削減・運航効率の向上・低炭素燃料の利用・エネルギー効率の良い設計といった既存の技術で対応できる。③2050年までの目標を達成するためには、現存する燃料・動力技術では対応できない。④既存の燃料以外、例えばLNGについては、全世界に必要なLNG供給施設を作るためには10年かかるし、全船舶の1%以下の船舶にしかLNGを供給できない。ほかの代替燃料についても課題は同じである。
      • 原文 June 4, 2019, ABS(長谷部正道)
    • 【5】北極海北航路経由のアジア=欧州間のコンテナシャトル輸送の経済的可能性
      • 【5】(論説)ムルマンスクとカムチャッカ半島の間を、Arc 7クラスの砕氷能力を持ったコンテナ船を使用して、コンテナ貨物をシャトル輸送すれば、北極海北航路の年間海上輸送可能期間を拡大することが可能となるため、Primorsky CPC社は2022年までにサンクトペテルスブルグに、2024年までにカムチャッカ半島に、さらにコラ半島に500万TEUの処理能力を持つコンテナ積み替えターミナルを建設する計画を発表した。しかし、アジア=欧州間のコンテナ輸送をするために、2回もコンテナの積み替えを行えば、追加の所要日数と膨大なコストがかかり、さらにシャトル輸送に必要なArc 7クラスのコンテナ船8隻から10隻の調達費用を加えれば、北極海北航路利用のための「早くて安い」というメリットが失われかねない。これに北極海の不安定な気象海象条件を加味すれば、定時運航が求められるコンテナ輸送の需要を集めるのは容易でない。
      • 原文 June 5, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【6】ノルウェー政府が持続可能な海洋経済に重点を置いて海洋戦略を改訂
      • 【6】ノルウェー政府が持続可能な海洋経済に重点を置いて海洋戦略を改訂・発表したところ、戦略中に定められた主たる目標の概要は以下のとおり。①経済効率的な方法で同国内のCO₂の完全な管理が行えるよう大気中の炭素を収集・輸送し、大陸棚の海底に貯蔵するための技術開発を支援する。②国内の海上輸送と漁業に従事する船舶が排出するGHGの量を2030年までに半減するためのGreen Shipping行動計画を作成する。③洋上風力発電開発のために新たに1または2の海域の開発許可を与える。④新たな海底資源法(Seabed Minerals Act)に従い、ノルウェーの大陸棚において商業的で持続可能な海底鉱物資源開発の許可を与えることを検討する。⑤Ocean Space Laboratoriesなどを活用して海洋産業のための研究開発試験施設の整備を促進する。⑥2019年のOur Ocean会合の主催国として、UN ocean processに積極的に参画し、持続可能な海洋管理の進展を国際的に支援していく。⑦マイクロプラスチックごみを含む海洋ごみ対策に引き続き取り組む。
      • 原文 June 6, 2019, ノルウェー政府(長谷部正道)
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