2019/06/10LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/06/10LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.06.11 UP
    2019/06/10LROニュース(6)
    • 【1】低硫黄分燃料油と重油の間の価格差の今後の見通し
      • 【1】Drewry社によれば、船舶燃料油中の硫黄含有分規制強化が実施される2020年の段階では、低硫黄燃料油(Low Sulphur Fuel Oil : LSFO)と高硫黄燃料油(High Sulphur Fuel Oil : HSFO)との価格差が十分あるため、LSFOを使用するVLCCと同規模でスクラバーを装備しHSFOを使用するケープサイズのばら積み船の1日当たりの燃料費を比較すると両者の間に1万2500ドル程度の燃料費の差が発生することが予想される。この燃料費の格差は経年的に少なくなり、2023年には4000ドル程度に縮小することが予想されるが、2023年以降もトン当たり75ドル程度のLSFOとHSFOの価格差は継続するものと予想され、HSFOを使用する船舶より15%程度燃費効率の良いLSFOを使用する近代的な船舶と互角の競争が継続できるものと予想される。スクラバーを選択した船主が懸念する継続的なHSFOバンカーの供給については、最近発表された国際エネルギー機関(International Energy Agency)の見通しによれば、HSFOの需要は2019年の一日当たり350万バレルから、2022年には110万バレルに減少するものの、2024年末までにスクラバーを搭載する船舶が5000隻以上になることが予測されるため、それ以上の需要減は見込めず、主要港湾においてはHSFOの供給体制は維持されるものと考えられる。
      • 原文 June 3, 2019, Seatrade Maritime News(田中亜季、長谷部正道)
    • 【2】米国防総省:インド・太平洋戦略報告書を発表
      • 【2】米国防総省は6月1日、新たなインド・太平洋戦略報告書を公表した。報告書では、米国は大小すべての国が自国の主権を維持し、国際法や国際規範、公平な競争の原則に則って経済成長を追求することが可能な、自由で開かれたインド太平洋の維持に永続的に関与していくとしている。また、共産党政権下の中国を名指しのうえ、軍の近代化や影響力の拡大、他国の支配を目論む搾取的な経済を推進することで主導権を握り、インド太平洋地域の再整理を図っていると指摘している。インド太平洋地域の安定と繁栄に持続的に関与していくため、米国防省は能力の高い部隊の配備や装備への投資、同盟やパートナーシップの拡大と新たな同盟国との関係の深化、同盟国等の安全保障ネットワークへの参画の強化・促進による国際法秩序の擁護等を行っていくとしている。
      • 原文 June 1, 2019, USNI News(武智敬司)
    • 【3】シャングリラ会合:中国国防相が台湾・南シナ海を巡り米国をけん制
      • 【3】中国の国家中央軍事委員会委員で国防部長の魏鳳和氏は6月2日、台湾の民進党や外国軍隊を念頭に、中国から台湾を分断する動きがあれば中国軍はあらゆる犠牲を払って戦うとして、いずれ中国は再統一するとのスピーチを行った。魏部長のスピーチは、同日に行われたシャナハン米国防長官代行による、米国は台湾関係法に従い台湾との防衛協力を継続するとのスピーチを受けて行われたものである。魏部長は米国の台湾関係法について、米国が米国内法をもって台湾問題に干渉することに全く正当性がないと批判した。また南シナ海については、米国が南シナ海の安全と安定に脅威を与えており、人工島建設は米国の脅威に対抗する自衛目的のものと言及した。魏部長は1989年春から秋にかけての政治的動揺(訳者注:天安門事件)に関する質問に対し、事件から30年で中国は大きく変革したとして、政治的動乱を収めるために共産党中央委員会が断固たる手段を取り、そのおかげで中国は安定を維持していると即座に答えた。これら魏部長のスピーチに対し英国の専門家は、難しい話題を避けることなく、率直で礼儀正しいものだったと称賛した。
      • 原文 June 3, 2019, 環球時報(武智敬司)
    • 【4】GEBCO日本財団フェローがXPRIZE海底地形図コンテストに優勝
      • 【4】海底地形図をより早く正確に測量する技術を競うXPRIZEの決勝に残ったチームは、ギリシャのカラマタ港から約15カイリ離れた最大水深4kmの観測海域まで観測機器を自律運航させ24時間以内に、解像度5m以上の海底水深図を作成することを求められた。優勝したGEBCO(The General bathymetric Chart of the Oceans)の日本財団(Nippon Foundation: NF)奨学生OBが結成したチームは、海底地形図関連分野の十分な経験を積んだ人材を集め常に本命視されてきたが、自律潜水艇(Autonomous Underwater Vehicle: AUV)は音響測深のためにすでに開発されていたものを用いたが、AUVを観測地点まで運送・リリース・回収するための無人海上船(uncrewed surface vessel)は英国で今回のコンテストのために開発され、5月には北海の英国=ベルギー間を無人運航するのに成功している。GEBCO-NFチームは制限時間内に、278㎢の海底を測定し、10以上の海底の物体を撮影した。
      • 原文 May 31, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【5】シャングリラ会合:米国防長官代行のスピーチ
      • 【5】シャナハン米国防長官代行はシンガポールで開かれたシャングリラ会合のスピーチで、いかなる国もインド太平洋地域を支配できないし、すべきではないと強調した。今回のスピーチで南シナ海問題は貿易やサイバーセキュリティなど他の米中問題に紛れて優先度を下げたものの、中国による人工島の建設と軍事拠点化については比喩的に、威圧の道具となってはならないと批判した。国防長官代行のスピーチは、広く予想されていたよりも対立色が薄く、質疑応答では米中の対決の存在を否定する場面もあった。中国の急速な台頭によって生じた競争関係については、競争は対立を意味する必要はなく、国際的に確立されたルールに従うかぎり好ましいものであるとして、競争は歓迎されるべきであり、恐れるものではないと繰り返した。
      • 原文 May 31, 2019, Defense News(武智敬司)
    • 【6】「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」第1回世界計画会合が開催
      • 【6】より健康的で持続可能な海洋を支援し、海洋に関する研究と技術開発を促進するため、2017年に国連において2021年から2030年までの10年間を「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development」とすることが決定され、UNESCOの政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission: IOC)が推進母体となり、第1回世界計画会合(Global Planning Meeting) が2019年5月にコペンハーゲンで開催された。国連事務局長は2019年3月に発表された「海洋と海洋法(Oceans and the Law of the Sea)」年次報告書で、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)を達成するために海洋科学が分野横断的に果たす重要性を強調している。また、UNESCO-IOCと国際海底機構(International Seabed Authority)は共同で、海底地形図の精度の向上や海洋観測ネットワークの強化などの共通目的に取り組んでいる。
      • 原文 May 20, 2019, UNESCO(長谷部正道)
  • 資料閲覧 その他