2019/02/19LROニュース(6)

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  • 2019.02.20 UP
    2019/02/19LROニュース(6)
    • 【1】PPR6: 独環境庁によるスクラバー排水サンプル調査が報告
      • 【1】2月18日から、IMOで開催されている第6回汚染防止・対応(Pollution Prevention and Response: PPR 6)小委員会では、シンガポール港やフジャイラ港で開放型スクラバーの使用が最近禁止されたのを受けて、急速に着目されている開放型スクラバーからの排出水が海洋環境に与える影響について議論が行われる予定であるが、独環境庁(UBA)は、バルト海と北海で実際に開放型と閉鎖型のスクラバーを使用している5隻の船舶から得られたスクラバー排水のサンプル試験結果を報告される見込み。スクラバー使用の増加は港湾都市の大気の質を改善する一方で、化石燃料の残滓である多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons: PAH)等の新たな海洋環境汚染原因物質を排出することにもなりことから、スクラバー排水に含まれるこうした新たな汚染物質の総量や海洋環境に与える総合的な影響について、更なる研究調査が必要であると結論付けている。
      • 原文 Feb. 15, 2019, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【2】ギリシャ船主協会:IMOがスクラバー使用を認めていることを重ねて批判
      • 【2】ギリシャ船主協会(Union of Greek Shipowners: UGS)は、昨年10月から、IMOがスクラバーの使用を2020年規制適応策として認めていることは、海運業界の競争条件の均衡化を著しく乱し、2020年規制による環境保護効果を減殺するとした上で、スクラバー設置は経済的利益目的の短期的対策であるとした。同時に、スクラバー製造産業と関係があり、経済的な動機を持つ一部の船主とIMOは一線を画するべきだと警告してきたが、先ごろの年次総会において会長は改めてIMOを非難した。協会は、スクラバー使用による環境への安全性を裏付ける調査不足を理由に、燃料の脱硫黄処理は船上ではなく、陸上で行われるべきであるという考えを長年支持してきた。低硫黄分燃料の安全性と、スクラバー使用に伴う海洋環境保全問題の検討に時間がかかりすぎるIMOに代わり、EUが率先して検討すべきであるとも述べている。
      • 原文 Feb. 15, 2019, Seatrade Maritime News(澤井由紀)
    • 【3】世界銀行と欧州委員会が「ブルーエコノミー開発枠組」を設立
      • 【3】世界銀行と欧州委員会は、海に面する途上国が、気候変動に対する抵抗力をつけ、多様で持続可能な海洋経済に移行することを支援する「ブルーエコノミー開発枠組み(Blue Economy Development Framework: BEDF)」を立ち上げた。BEDFの手順としては、まず対象国の海洋環境や海洋関連部門の現状に関する情報を収集し、当該国家が海洋経済を発展させるための成長要因と阻害要因を分析した診断分析を作成する。次に、この診断をもとに、対象政府が①海洋経済発展に必要な政策・財政・行政改革を準備し②海洋経済部門から経済発展に貢献できる可能性のある分野を特定し③戦略的な財政投資をすべき分野を特定するためのロードマップの作成を支援する。つまり、海洋沿岸国が客観的・合理的な分析に基づいた投資と政策の見直しを行うことをBEDFによって支援する。2019年においては、インド・ベトナム・キリバツと他の小規模発展途上島嶼国(Small Islands Developing States: SIDS)を対象国として試行事業を行う。
      • 原文 Feb. 14, 2019, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【4】欧州議会が外国からの直接投資を審査する枠組み案を承認
      • 【4】2017年の所信表明演説でEUのユンカー大統領が欧州への外国による直接投資を審査する欧州共通の枠組みを創設することを提案したことを契機に、欧州委員会を中心に本件について作業が進められてきたが、2018年11月20日に欧州委員会・理事会・議会のEU関係3機関は審査の枠組み案に合意したが、2月14日改めて欧州議会はこの3者合意案を承認した。今後は、理事会の正式承認が必要となる。承認された新たな枠組みの概要は以下のとおり。①特定の投資案件について、加盟国と欧州委員会の間で情報を共有し、懸念を表明できるようにするための協力メカニズムを創設する。②欧州委員会は当該投資が複数の加盟国の安全保障や公共の秩序を乱し、またはHorizon 2020やガリレオのようなEUの全体利益にかかわる事業に悪影響を与えると判断したときは、当該投資について意見を表明することができる。③投資審査に係る経験・ベストプラクティス・共通の関心事項に関する情報の交換など、投資審査に関する国際協力を奨励する。④EU共通の審査制度とは別に、個別の国内審査制度を保持・創設したいと考える加盟国のために、そのための一定の条件を設定するとともに、当該加盟国に対する外国の直接投資の許可に関する最終決定権は当該加盟国に委ねる。⑤投資事業の事業性を損なわないために、意見照会の期限は短く設定し、厳格な守秘規定を設ける。
      • 原文 Feb. 14, 2019, EU(長谷部正道)
    • 【5】ノルウェー高裁:同国大陸棚上のズワイガニの管理権を同国に認める
      • 【5】2017年にEUの漁業免許しか持たないラトビア船籍の漁船がスヴァールバル諸島周辺のノルウェーの大陸棚上のズワイガニを違法漁獲したとして、ノルウェー当局に拿捕され、一審で罰金刑を命じられた漁業会社が上告していた裁判で、2月14日、控訴審も原審の判断を支持し、漁業会社の訴えを棄却した。裁判所は判決の中で、ズワイガニは大利棚の海底上に生息し海中を移動しない生物なので、国連海洋法条約に従い、大陸棚の主権を有するノルウェー政府の漁業許可がなければ、不法操業となると判断したが、漁船側は、ズワイガニは底魚と違い海中を移動するので、一般の魚類と同様にEU・ノルウェー・ロシアが参加した地域漁業協定に従い、EUの漁業免許だけで漁獲できると主張していた。またスヴァールバル諸島の主権をノルウェーに認める一方で、同諸島の島内及び周辺海域においては他国も自由に経済活動ができることを合意した1920年のスヴァールバル協定に反すると漁業会社は主張したが、判決では同協定は同諸島及びその領海にしか適用されないとして漁船側の主張を退けた。今回の判決により、ノルウェー政府は漁業ばかりでなく、北極海の同国の大陸棚上の石油ガス資源の管理権についても良い先例となる判決を得たことになる。
      • 原文 Feb. 14, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】ReCAAP ISC 週刊報告書(2月5日から11日)
      • 【6】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)に2月から5日から11日までに通報された事件は3件で、このうちカテゴリー3(賊が銃以外で軽武装しているが船員に被害がない事案)に該当する事件が中国唐山市で1件、カテゴリー4(賊が非武装で船員にも被害がない事案)に該当する事件が、中国唐山市京唐港とインドネシアのスマトラ島で1件づつ発生しているが、カテゴリー3の事件の概要は以下のとおり。1月12日午前4時半、中国唐山市Caofeidianの錨泊地に錨泊中のばら積み船に鉄棒で武装した2名の賊が、小舟で乗り付け、ロープを使って乗船したが、船員が発見して警報を発したので、何も取らずに退散した。船員が船内捜索をしたのち、VTS(Vessel Traffic Service)に通報した。
      • 原文 Feb. 12, 2019, ReCAAP(長谷部正道)
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