2019/02/15LROニュース(6)

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  • 2019.02.18 UP
    2019/02/15LROニュース(6)
    • 【1】グリーンランド:氷河の融解に伴って発生する膨大な砂を輸出する可能性
      • 【1】(論説)地球温暖化の影響により、グリーランドの氷河の融解速度は速まっており、すべてのグリーンランドの氷河が溶ければ、世界の海面が約7m上昇すると予測されているが、副産物として膨大な量の砂と砂利が沿岸部のフィヨルドに流れ込むこととなる。世界で建設・土木工事に必要とされる砂の総需要量は2017年の実績では95.5億トンで、市場価格にすれば約1000億ドルの規模となり、21世紀末には4810億ドルの規模に需要が増えると予測されている。グリーンランド自治政府は、財政的にデンマーク政府からの支援に大きく依存しており、もし氷河融解の副産物としての砂を輸出することができれば、グリーンランド経済の発展に大きく貢献することは間違いない。しかし、グリーンランドから主要市場に輸出するためには、多額の輸送費がかかり経済的可能性を慎重に検討する必要があるうえ、沿岸漁業への環境影響調査を行い、将来的に海面が上昇したときにグリーンランドの海岸等の嵩上げ・護岸工事に砂を使用する可能性も考慮して輸出の可否を決めるべきである。
      • 原文 Feb. 11, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【2】スウェーデン船主協会:2045年までに化石燃料の使用を停止
      • 【2】パリ協定が合意された2015年のCOP21に先立ち、スウェーデンを世界で最初の「脱化石燃料福祉国家」としたいとの志を抱く企業や地方公共団体等によって結成されたFossil-free Swedenは、2045年までに同国を「炭素中立」にするという同国議会の決定を受けて、加盟業界団体等に目標を実現するための具体的な行動計画を作成するように働きかけている。加盟団体の一員であるスウェーデン船主協会会長は、地元経済誌に寄稿し、同協会として2045年までに化石燃料の使用を停止すると表明した。同政府は、2030年までに交通分野におけるGHG排出量を2030年までに70%、2045年まで100%それぞれ削減することを国家目標としている。同会長は目標達成のために必要な技術開発に対する補助制度と、低炭素化技術を採用する会社に対する優遇税制を創設することを政府に要請し、このような支援制度が整えば、同国海運業界は脱酸素化技術の早期導入者として、国際競争上優位に立つことができるだろうと示唆している。マースクも今世紀半ばまでに「炭素中立」の実現を目指すと公約しているが、IMOは船舶からのGHG排出量を2050年までに50%削減することを昨年ようやく合意している。
      • 原文 Feb. 13, 2019, Splash24/7(澤井由紀)
    • 【3】米、「航行の自由」作戦に同盟国の参加を求める
      • 【3】米インド太平洋軍司令官は2月12日に上院軍事委員会の委員に対し、南シナ海での「航行の自由」作戦を今後も継続していくとともに、将来的に同盟国やパートナー国の参加を求めていく考えを明らかにした。同司令官は、北朝鮮の存在が米国にとってインド太平洋地域における最も喫緊の課題としながら、中国が領土及び経済的影響力を拡大していることについて、地域の貿易と人々の自由の維持に対する長期的な脅威であるとの認識を示した。また、南シナ海で日本や豪、NZ、加、仏、英などが一体となって作戦を実施するか、それぞれが各自で作戦の段階を上げて行動することが、中国に対抗する意思を国際社会に示すことになると述べた。
      • 原文 Feb. 12, 2019, USNI(武智敬司)
    • 【4】ノルウェー軍事情報機関の年次公開報告書に見る北極の軍事・保安情勢
      • 【4】ノルウェーの軍事情報機関が年次公開報告書FOKUS 2019を公表したところ北極情勢に係る部分の概要は以下のとおり。①露は天然資源の確保と戦略的な安定性の確保の観点から北極圏の軍備の増強を継続している。②露は欧州諸国やNATOの政策決定の妨害や分断化を引き続き進めており、北極圏におけるNATO活動の中核的な役割を果たすノルウェーに対し不快感を強めている。③露はNATOの軍事演習時にGPS妨害行為を行っており、今や民間航空機の安全運航にも影響を及ぼしている。④北極圏は露のGDP の15%、輸出の20%を占めており、露経済の中核として、管理権の完全な掌握に努めている。⑤露軍の近代化と展開能力の強化が急速に進んでおり、北方艦隊の軍事力ばかりではなく、有事においては露全土から追加的な軍事能力の迅速な投入が可能であることを念頭に入れる必要がある。⑥露はヤマルLNG事業など経済開発については、中国の投資に依存せざるを得ない一方で、天然資源の国家管理の観点から中国の政治的な投資に懐疑的な考え方もある。
      • 原文 Feb. 12, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【5】フィンランドとノルウェーを結ぶ北極鉄道の建設に厳しい報告書が発表
      • 【5】2018年5月9日に、フィンランドとノルウェー両国政府は、フィンランドのラップランドの中心であるロヴァニエミとノルウェーの北極海に面する港町チルケネスを連結する新たな鉄道路線建設の可否について、共同作業部会を設置して検討を進めてきたが、このほど建設は難しいとする報告書が発表されたところその概要は以下のとおり。①年間の保守点検費用を捻出するためには、最低でも年間250万トンの貨物輸送量が必要となるが、それだけの貨物を集荷するのは現状では不可能で経済的に鉄道経営が成り立たない。②新鉄道の建設はラップランドへの観光客の集客の選択肢を増やすことにはなるが、観光収入を鉄道建設財源とはできない。③新線を沿線から欧州本土へのアクセス手段とみる場合でも、まずは現在輸送能力が限界に達しているヘルシンキ=タンペレ間の鉄道輸送能力を増やすのが先決である。④現在、フィンランド・ノルウェー両国とも新たな鉄道建設12年計画をスタートしたばかりであり、この計画に含まれていない北極新線は、両国の次の12年計画に入れる必要があるので、具体的な計画作成までにあと15年は待つ必要がある。
      • 原文 Feb. 11, 2019, Arctic Finland(長谷部正道)
    • 【6】南シナ海:パグアサ島等を巡って中・比間の緊張が激化
      • 【6】比による南シナ海のパグアサ島の滑走路の修復を妨害するために昨年7月から同島周辺に中国船が蝟集していたが、その数は一時100隻近くにまで達していたと、米のシンクタンクが分析している。比国防大臣はこの修復計画について、同島住民と駐留部隊の生活環境改善のために重要であり、主権の範囲内で国際法を完全に尊重しているとしている。中国は実効支配するファイヤリークロス礁に救難センターと称して軍事施設とも思われる施設を設置しており、比では中国に対する反発が強まっている。比の専門家は中国のこのような施設建設は南シナ海への防空識別圏(ADIZ)設定の前触れであるとして、比の安全保障に直接的な脅威となると主張している。比は1978年に滑走路を建設するなど他国に先んじてこの海域の要塞化を行っていたが、予算的問題などで補修が行われておらず、2014年に米の支援を受けた滑走路の補修計画を明らかにしたものの、国際仲裁裁判所に中国を提訴したことに伴い、モラル上の優位を保つため補修作業は延期されていた。2017年にドゥテルテ大統領が南シナ海での比の実効支配を強化するよう軍に指示した際、中国は強硬に反対の意思表示をしている。現在パグアサ島で進んでいる荷役施設の整備に対し、中国は付近のスビ礁から海上民兵などを派遣して作業を妨害している。その数は昨年12月20日には95隻に達し、1月26日までに42隻まで減少しているが、今のところ比の計画を止めるには至っていない。しかしながら中国のこのような動きは、たとえ比のような潜在的な同盟国であっても、南シナ海で対立する相手国を包囲し、脆弱な補給線を妨害するという中国の意思と能力を明確にしたものといえる。
      • 原文 Feb. 13, 2019, Asia Times(武智敬司)
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