2019/01/29LROニュース(6)

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  • 2019.01.30 UP
    2019/01/29LROニュース(6)
    • 【1】中国が2018年における世界の海上風力発電投資を主導
      • 【1】全世界の海上風力発電に対する2018年の投資額は257億ドルと対前年比14%の増加となったが、スコットランド沖のMoray Eastに33億ドルを投資して950MWの海上風力発電所を建設する事業等の欧州における事業を含め中国資本による13の海上風力発電事業の建設が開始されたことが増加の主因となった。海上風力発電事業についてはこれまで英・独が主導し、現在でも重要な役割を持つが、中国が最大投資国の座を獲得した。また、台湾や米国東海岸沖が新たな海上風力発電の建設場所として多くの投資家の投資を集めた。再生可能エネルギー全体でみると、2018年には対前年比8%減少の3321憶ドルが投資されたが、このうち風力発電全体は1286億ドルと対前年比3%増加した。中国は再生可能エネルギー全体でも、世界最大の投資国として1001憶ドルを投資したが、太陽光発電に対する投資額が減少したため、対前年比では32%の減少となった。
      • 原文 Jan. 17, 2019, Offshore Wind Biz(長谷部正道)
    • 【2】プラスチック製造大手企業等が「プラスチックごみを無くす連合」を結成
      • 【2】シェル・エクソンモービル・サウジアラムコなど世界の主要プラスチック製造事業者など28社が集まって、非営利団体である「プラスチックごみを無くす連合(Alliance to End Plastic Waste: AEPW)」を結成した。同連合は今後5年間に10億ドルを投資して、プラスチックの製造量を削減し、リサイクル率を向上させることを目的とする。参加企業の多くは、シェールガスの開発に2010年以来1800億ドル以上の投資を行ってきており、こうした新たな化石燃料により、今後10年間にプラスチックの生産量は年間4億トンと40%増加することが見込まれている。1950年代にプラスチックの大量生産が始まって以来、83億トンのプラスチックが製造されたが、このうち約9%しかリサイクルされず、60億トンのプラスチックごみが発生し、年間約800万トンのプラスチックごみが海洋投棄されている。同連合の広報担当者は、プラスチック製の包装材を他の素材のものに置き換えると、全米で年間5500万トンもごみの総量が増え、エネルギーの消費量と二酸化炭素排出量もそれぞれ82%, 130%増加すると主張している。
      • 原文 Jan. 21, 2019, The Guardian(長谷部正道)
    • 【3】フィジー首相が豪首相に気候変動対策に真剣に取り組むよう警告
      • 【3】2015年に豪の当時の首相と閣僚が太平洋島嶼国の海面上昇問題を笑い飛ばしたスキャンダルが明るみに出たが、豪首相がフィジーを訪問した際に、2017年のCOPの議長を務めた地球温暖化対策の推進者として有名なフィジー首相は歓迎スピーチの中で、「気候変動問題はフィジーの国民や太平洋島嶼国の人々にとっては笑い事ではなく、深刻な脅威であり、豪の前首相には繰り返し、クリーンエネルギーへの転換を求めてきた。」と言及した。(豪前首相は国内的な政争を優先して、自ら約束していた温暖化ガスの削減目標を放棄した。)今回の豪首相のフィジー訪問は、首相レベルとしては2006年以来で、中国からの投資の導入に熱心な太平洋島嶼国の関心を、改めて豪に向けさせることを目的としている。両国の首相は友好協定を締結し、閣僚レベルでの定期会合を増やすとともに、①豪国境警備隊によるフィジーの国境警備隊の訓練②フィジーにある南太平洋大学へ8400万ドルの供与③年間1700万ドル分の豪のTV番組をフィジーの公共放送に提供することなどに合意した。
      • 原文 Jan. 18, 2019, ABC(長谷部正道)
    • 【4】気候変動の結果年間25万人以上が追加的に死亡
      • 【4】2014年に世界健康機関(WHO)は気候変動の結果、2030年から2050年にかけて、マラリア・下痢・熱性ストレス・栄養失調等の増加によって年間25万人以上の人が世界で追加的に死亡すると予測したが、医療専門誌に発表された最新の研究結果では、WHOが挙げた要因の他に、海面上昇等に伴う居住地の移転・食糧生産量の減少・熱帯における農業の生産性の低下等の追加要因を検討に入れれば、25万人という予測数は楽観的であるとしている。例えば、気候変動に伴う食糧不足だけでも2050年までに52万9千人が追加的に死亡し、2030年までに1億人が極端な貧困に伴う危機的な健康状態になると指摘している。さらに気候変動に伴う水源の枯渇・前例のないレベルでの生物多様性の喪失・海洋の酸性化・過剰漁獲・汚染・森林の伐採・外来性侵略生物の増加といった様々な健康への脅威となる要素が予想され、こうした様々な脅威に対してどのような防御措置をとっていくか医療関係者は至急検討・対処する必要があるとしている。
      • 原文 Jan. 16, 2019, CNN(長谷部正道)
    • 【5】韓国海洋担当大臣が北朝鮮の港湾の共同開発を示唆
      • 【5】1月16日、韓国の海洋水産部長官は、北朝鮮と米国との関係に配慮しつつ、国連の対北朝鮮制裁が解除された場合に備えて、北朝鮮の南浦港・海州港・本山港の近辺に共同で産業施設を建設するための準備調査に入り、さらに南浦・海州両港への航路を再開する用意があると表明した。海洋水産部の事務方も、準備調査を実施するためには投資は必要としないので、いつでも着手できると表明している。
      • 原文 Jan. 16, 2019, 聯合(長谷部正道)
    • 【6】南シナ海をめぐる中国とベトナムの駆け引き
      • 【6】南シナ海の領有権問題において、ベトナムは中国に対し強硬姿勢をとることで優位に立つことができると専門家は分析している。ベトナムは南シナ海行動規範に、人工島の建設及び軍事化の禁止を盛り込むことを提案している。中国と南シナ海沿岸国の実力差は大きく、南シナ海沿岸国が実力で中国を押し戻すことは不可能であり、出来ることと言えば行動規範に合意するか、少なくとも安全保障と主権に関する問題として耳目を集め続けることしかない。ベトナムが中国の南シナ海支配拡大を声高に主張することで、今後の行動規範の交渉において駆け引きの条件とし得るのである。中国は今年建国70周年を迎え、外交的な弱みを見せることができない状況にあり、ベトナムの主張を許容しないと思われるが、それでも行動規範の交渉は継続すると見られる。米中関係が緊張を増す中、これに代わり東南アジア諸国との緊張を緩和するよう強いプレッシャーを受けているからである。
      • 原文 Jan. 18, 2019, Global Security. Org(武智敬司)
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