2018/9/20 LROニュース(6)

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  • 2018.09.21 UP
    2018/9/20 LROニュース(6)
    • 【1】 米国法曹協会がプエルトリコを永遠にカボタージュの適用除外にすることを要請
      • 8月7日、米国法曹協会(American Bar Association: ABA)代議員会は米領プエルトリコを内航貨物の自国船留保(カボタージュ)を定めるJones Act(USC 55101)から永遠に適用除外とする法律の制定を米国議会に求める決議を可決した。米領サモアやヴァージン諸島はすでに同法の適用除外となっているが、プエルトリコにも同じ適用除外措置を与えれば、米国民の税金を一切使わずに、プエルトリコの経済復興を支援することができるとしている。米国のカボタージュ規制法については広く“Jones Act”として知られているが、実際の貨物輸送に関するカボタージュの根拠規定は1920年の商船法(Merchant Marine Act)27条であり、カボタージュ規制の根拠としてJones Actに言及するのは実は間違っている。また、曳船・浚渫・旅客輸送・漁船に関する米国籍船留保も他の規定で定められており、今回の決議はカボタージュの根拠となるこれらの全ての規制からプエルトリコを適用除外にすることを求めたもの。
      • 原文 Aug. 10, 2018, Lexology(長谷部正道)
    • 【2】 シンガポール民間航空庁がドローンを用いた船舶への空輸サービスを支援
      • 世界で最大の船舶代理店業務を展開するWilhelmsen Ships Service(WSS)社とエアバス社はシンガポール港でエアバスのSkyways無人航空システム(Unmanned Air System: UAS)を活用して、陸上から船舶に予備部品・書類等船舶に必要なものを空輸する海事UAS試験事業を開始するための覚書を6月に締結したが、シンガポール民間航空庁(Civil Aviation Authority of Singapore (CAAS)はこのほどWSSに対して、最大150万シンガポールドルの補助金を出すことを決定した。港湾に停泊中の船舶に必要なものを届けるのに従来は通船を使用していたが、UASを活用すれば、船舶に必要なものを届ける時間が大幅に削減できるだけでなく、配送コストも最大90%削減することが可能で、輸送の安全性も向上することができる。
      • 原文 Aug. 14, 2018, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】 粗悪燃料油の拡大にINTERTANKOが懸念を表明
      • 8月7日、INTERTANKOが粗悪燃料油の拡大に関して批判的な意見を発表したところ、その概要は以下のとおり。①通常、船舶燃料に含まれないはずの化合物を含んだ粗悪燃料油の供給が、2018年1月に米ヒューストンで最初に確認された後、カリブ海やマレーシア、シンガポールへと拡大し、これまで燃料系統システムの過剰摩耗や目詰まり等の故障に見舞われている船舶は100隻以上に上ると見られる。②しかし、本問題については、6月に米国沿岸警備隊(USCG)が安全警報を発信したのみで、関係当局による調査は一切行われていない。③問題の原因は関係当局の燃料油品質規制に対する関心の低さと問題が発生した際に調査を指揮するイニシアティブの欠如にあり、その関係当局と粗悪燃料を供給した燃料供給業界がそれぞれの責任を認めるまでは、メディアによる社会認識の向上が必要である。④そして、INTERTANKO会員らの最終的な求めとしては、燃料生産者と供給者に燃料油品質の完全保証を義務付けることである。
      • 原文 Aug 7, 2018, INTERTANKO(野口美由紀)
    • 【4】 2020年までにスクラバーを搭載すれば1年で投資回収も可能
      • (論説)2020年の硫黄分排出規制強化後は、低硫黄燃料油(LSFO)の需要増加で高硫黄燃料油価格(HSFO)は低下する一方、LSFO価格は上昇すると予想され、両燃料油の価格差によってはスクラバーの経済的魅力が増し、船主にとって判断が難しいところである。大型石油タンカー(VLCC)の場合、オープンループ式スクラバーの搭載費用は新造船で約270万米ドル、既存船で約430万米ドルであるが、2020年のHSFOとLSFOの価格差が約300米ドル/トンとの予測に基づけば、同年のスクラバー搭載VLCCの燃料費削減額は570万米ドルとなり、スクラバーへの投資資金をわずか1年で回収できることになる。しかし、両燃料油の価格差はLSFO供給量の増加に伴い縮小し、2023年には87米ドル/トンになると予想されることから、スクラバー搭載VLCCの燃料費削減額も160万米ドルまで減少する。そのため、スクラバー搭載時期が遅くなるほど投資回収期間も長くなくなるであろう。
      • 原文 Aug 14, 2018, Drewry(野口美由紀)
    • 【5】重油の使用により北極の温暖化が加速する可能性
      • (論説)船舶の排気ガスには、太陽光を吸収する性質を持つ黒色炭素が含まれている他、燃料油によっては同様の性質を持つ汚染物質である「ブラウンカーボン(BrC)」も多量に含む。独のロストック大学の研究によれば、BrCは軽質油を燃焼させた場合は生成されないが、重油を燃焼させた場合は大量に生成され、それらが蓄積した雪上では温暖化効果が18%も高まることが明らかになった。さらに、エンジンが低負荷の状態ではエンジン内の燃焼不良によりBrCの排出量が増え、温暖化効果も上昇するという。そのため、特に北極周辺では、航行する船舶の間で重油が一般的に使われている上、船舶活動もますます活発化することが予想されていることから、気候変動への影響も大きいであろう。
      • 原文 Aug 15, 2018, EOS(Julie Harper)
    • 【6】 スクラバー搭載船の増加で2020年後も高硫黄燃料油の需要が続く見通し
      • 既報のとおり、スクラバー搭載船は2018年5月末時点で983隻に上っているが、当該船舶の増加は、硫黄分排出規制強化後も引き続き相当量の高硫黄燃料油(HSFO)が使用されることを意味し、HSFOの消費量は2020年時点で1日60万バレルに上ると推計されている。また、海運会社の中には規制強化対策としてスクラバーを選択しない決断を下したものの、スクラバーの経済性を評価する研究報告を受け、再考している会社もある。
      • 原文 Aug 14, 2018, Reuters(野口美由紀)
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