2018/8/13 LROニュース(6)

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  • 2018.08.14 UP
    2018/8/13 LROニュース(6)
    • 【1】 米国議会で造船・海運保護主義法案が提案
      • 米国上下院で超党派で「米国造船業支援法(Energizing American Shipbuilding Act)」が提案された。同法案によれば、2032年までに米国から輸出される原油の10%と、2040年までに米国から輸出されるLNGの15%を米国で建造された米国籍船で輸送することを義務付けている。提案者によればこの結果、米国の造船所が50隻以上のタンカーを受注することが可能となり、国家安全保障上の観点から造船業を強化できるとともに、多くの雇用をもたらすことができるとしている。内航輸送を自国船に留保するカボタージュは世界で広くみられる慣行で、米国でも既にJones Actがあるが、外航海運に自国船優先政策を導入する試みは例外的だが、最近インドネシア政府とロシア政府が自国船優先政策を宣言するも、インドネシアの場合には実際に外航海運を行うことができる自国船が絶対的に不足していることから輸出業界の反発を受けて撤回された経緯がある。
      • 原文 May 22, 2018, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【2】 インド政府がカボタージュを一部規制緩和
      • 5月22日、インド海運省は、カボタージュ規制を緩和して、農産・水産・畜産・園芸関係の輸出入コンテナ貨物のインド国内の港湾間の輸送を外国船社にも許可すると発表した。外国船社は24時間前に海運局長あてに申請を提出する必要がある。これまでは、インド国内の港湾間のコンテナ輸送にカボタージュ規制が課されていたため、この規制を避けるために、外国コンテナ船社はインド国内港湾間の輸送でも、近隣のシンガポール・スリランカ・ドバイの港湾を経由してコンテナ輸送を行っていたので、今回の規制緩和により、インドの港湾におけるコンテナ貨物の国内転送需要が増えることとなり、外国船社ばかりでなく、インド国内の港湾も恩恵を受けることとなる。
      • 原文 May 25, 2018, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】 北大西洋沖で気候変動とプラスチックゴミの影響調査が始まる
      • 英国立海洋センターは、長年海洋観測調査を行っている北大西洋のポーキュパイン海盆の観測所(The Porcupine Abyssal Plain Sustained Observatory: PAP-SO)で、環境及び生態学的なストレス要因が外洋にどのような影響を及ぼすか解明するための調査を新たに開始したことを発表した。具体的には、海水中の沈降粒子を捕集するセジメントトラップや遠隔操作可能な海底カメラHyBISなど様々な道具を用いながら、①GHGが大気中から海面に吸収される過程や深海に到達後の状況を追跡する調査と②海中や海底のプラスチックゴミなどの計測調査を行う。特にプラスチックゴミについては、その量や種類、海洋循環による移動状況など未解明な部分も多く、今回の研究で海岸から遠く離れた外洋での汚染や被害状況を知る手がかりとなることが期待されている。
      • 原文 May. 18, 2018, 国立海洋センター(野口美由紀)
    • 【4】 英国:深刻な大気汚染の解消に向け、新たな戦略案を公表
      • 英政府は5月、国民の健康や環境を脅かしている大気汚染を対処すべく、大気汚染防止戦略(Clean Air Strategy)案を公表し、パブリックコメントを募集している。本戦略は、5種類の主要大気汚染物質について大幅な削減目標を定めているヨーテボリ議定書や欧州国別排出上限指令の達成に向け、すでに策定済みの「産業戦略」、「クリーン成長戦略」、「今後25年の環境行動計画」の3つの戦略を補完する内容となっている。対策範囲も、自動車の排気ガスだけでなく、発電や家庭用暖房、農業、商品生産など幅広い排出源を対象としており、政府及び社会全体で取り組むべき総合的な戦略が打ち出されている。今後はパブコメで寄せられた意見を踏まえ、最終戦略を今年中に、そして大気汚染規制プログラムを来年3月までに策定予定である。
      • 原文 May. 22, 2018, イギリス環境・食糧・農村地域省(野口美由紀)
    • 【5】 Seabed 2030事業の今後の予定と課題
      • Seabed 2030は日本財団が国際水路機関(IHO)とUNESCOの下部組織である大洋水深総図(General Bathymetric Chart of the Oceans: GEBCO)と協力して、2030年までに水深200mを超える世界の海底の地形図を作成することを目的とする事業で、海底地形図が完成すれば、津波の波及パターンの推測・漁業資源の把握・海底鉱物資源の開発など幅広い分野に活用されることが期待される。総事業費は約30億ドルかかると予想されているが、沿岸域に近い部分については、沿岸国の水路部等に作成を任せる予定だが、南シナ海・アデン湾・紅海といった地政学的に緊張関係にある海域の調査が課題となる。参加する機関から集められた情報はまずは世界で4か所も設けられるセンターで専門家によってまとめられたうえで、最終的には英国海洋学センター(NOC)で照合される。最初の水深図は2018年委作成される予定で、その後毎年追加・改定をしていく予定。
      • 原文 May 22, 2018, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】 カナダ政府が水先制度の見直しに関する報告書を作成
      • カナダの強制水先制度や高額の料金に対して強い批判があったことから、カナダ政府は審議会を設けて全面的な見直し作業を進めていたがこのほど審議の結果がまとまり改革の方向性が示されたところその概要は以下のとおり。①既存の4つの地域水先協会については現状維持を求める意見が多かったが、効率化を図る観点から二つの地方水先協会を統合する。さらには連邦レベルの審議会を活用して、水先協会の効率的な管理体制などに課題について国家レベルで議論を引き続き進める。②現在地方水先協会は各水先区において単独の水先事業者としか契約を結べないため、高コストとなり水先料金も高くなっているが、各水先区で協会自らが雇用している水先人の使用を含め、従来の独占的な水先事業者に対する交渉権限を強化する。③現行の4地方水先協会は、水先業務の提供者であるとともに、安全規制を所管している。国際的に見ても水先業務を提供する組織が同時に当局として安全規制権限を持つのは異例だし、4地方水先協会による安全基準の間で整合性のない部分もあることから、安全規制については連邦政府が所管するように改める。
      • 原文 May 18, 2018, カナダ交通省(長谷部正道)
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