2018/7/17 LROニュース(5)

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  • 2018.07.18 UP
    2018/7/17 LROニュース(5)
    • 【1】 欧州委員会による使い捨てプラスチック対策
      • 現在欧州委員会は海洋や海岸を汚染するプラスチックゴミを削減するために、他の材質のもので代替可能なプラスチック製のストロー・スプーン・フォーク・ナイフ・皿・風船の柄の製造を禁止することを検討している。また欧州委員会は、調理済み食品の持ち帰りに使われるプラスチック製のトレイや使い捨てのプラスチック製またはプラスチックコーティングがされている紙コップの使用量の大幅削減も検討している。そのほかにもスーパーで使用されるプラスチック製の食品を入れるための容器やラップ・ペットボトル・たばこのフィルター、プラスチック製の買い物袋・雑巾・生理用品・風船など、そのままプラスチックゴミになりやすいものを広範に対象にしてプラスチック戦略を検討している。こうした日用製品に加えて、プラスチック製の漁網・漁具についても製造者に使用後の製品の回収・処理の費用を義務づけるほか、海洋ゴミの清掃費用・プラスチックゴミ削減のための啓蒙宣伝費も負担させることが検討されている。
      • 原文 Politico(長谷部正道)
    • 【2】 ロングビーチ港・ロサンゼルス港におけるゼロ排気事業
      • サンペドロ湾のロングビーチ港とロサンゼルス港は、港湾からのGHGガス排出ゼロを目指して2017年11月に「クリーンエア行動計画」を採択したが、既に多くのモデル事業が、関係業界・政府・地元の団体・環境健康団体が連携して開始されているところ主たるものは以下のとおり。①排気ゼロ貨物運送(ZECT-II)事業:ハイブリッドかつ燃料電池によって動く港湾運送用のトラック7台を設計・開発・製造し、道路で試験走行を行う事業で、最終的は2港を連結する幹線道路・引き込み鉄道・倉庫周辺の輸送に用いられる予定。総事業費は連邦エネルギー省からの970万米ドルの補助金を含めて、2010万ドル程度となる見込み。②ゼロ排気荷役機器移行事業:9基のディーゼル・電気併用の既存のクレーンを12基の完全電池走行のヤードトラクターに置き換え、4基のLNGを燃料とする荷役トラックをプラグインハイブリッドの電気自動車に置き換え、作業員に必要な訓練を行う3年間の事業。③ゼロ排気改修事業:9基のディーゼル・電気併用のクレーンを完全電化し、4隻のタグを最も環境負荷の少ないエンジンに置き換える事業で、連邦環境保護庁から240万ドルの補助を受けている。
      • 原文 ロングビーチ港(長谷部正道)
    • 【3】 各国は地球温暖化対策取り組み範囲の拡大と取り組み速度の迅速化が必要
      • 国連の気候変動対策に関する会合の議長を務めるフィジーの首席代表が、パリ協定当事国の気候変動に対する現在の取り組みが不十分であるとマスコミに述べたところその概要は以下のとおり。①中国・サウジアラビア・EUを含む多くの国が、気候変動対策に関する現在の取り組み状況について国連に報告書を提出したが、共通して言えることとしては、全ての国が対策の規模とスピードを大幅に拡大する必要がある。②気候変動対策に関し先進国は途上国に対して2020年から毎年1000億ドルずつの支援を行うと約束しているが、2020年からでは遅すぎると中国政府は西側先進国を批判している。③太平洋やカリブ海の小島嶼発展途上国はどんどん進む海面上昇や暴風雨の被害を受けているが、懸念が表面されるだけで、実際に有効な対策はほとんどとられていない。④各国は12月のCOPに向けて、各国が排出するGHGの計測・報告方法に関する拘束力のない「実施方法のガイドライン」の作成について交渉を進めていく。
      • 原文 Reuters(長谷部正道)
    • 【4】 パリ協定目標の実現には明確な「ルールブック」が必要
      • (論説)パリ協定実施ガイドライン(ルールブック)は、各国が国内で実施する気候変動対策が関係国間で平等の条件の下で行われているという信頼感を関係国や当事者の間で醸成するように、策定されなければならない。ルールブックはパリ協定実施のための適切なPDCAサイクルを担保するために重要で、いい加減なルールブックでは、パリ協定の適切な実施の妨げとなる。十分に配慮されかつ厳格なルールブックが出来れば、当事国にとって今まで何がなされ、今後何をなさなくてはいけないかが明確となり、もし必要な対策が取られなければどのような結果となるか、対策の実施に当たりどのような支援を受けることができるかなどが明らかになる。明確な実施ガイドラインは、交渉に参加する当事国間の信頼を深め、多国間合意の信頼性を高めることができる。強力なパリ協定ルールブックは我々の子孫の将来がよりクリーン・安全で繁栄するためになすべきことを明示し・促進するのである。
      • 原文 World Resources Institute(長谷部正道)
    • 【5】 ポーランドが若き環境副大臣をCOP24の議長に指名
      • ポーランド政府は環境省副大臣のKurtyka氏を同国がホストする2018年のCOP24の議長に任命した。同氏は仏・米・ベルギーで教育を受けた国際派で愛国主義的なポーランド政府の中では異端の存在。今迄のCOPでは開催国は経験を積んだ外務大臣や環境大臣を議長に任命するのが慣例で、若く政治家でもない党官僚を議長に任命するのは極めて異例。COP議長職は交渉全体の進捗を管理するほか、交渉が行き詰まった時には仲介役を行う大事な役割で、環境問題に積極的な参加国やNGOは、未だに石炭発電所に大きく依存し、今迄環境問題に最も消極的であったポーランドが議長国となることに懸念を示していたが、今回若く穏健な党官僚が議長になったことは、そうした懸念を緩和することになるともいえる。
      • 原文 Climate Change News(長谷部正道)
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