2018/7/10 LROニュース(9)

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  • 2018.07.11 UP
    2018/7/10 LROニュース(9)
    • 【1】 マースクCEO:硫黄排出規制強化対策として低硫黄バンカーの使用を選択
      • 4月26日、シンガポール海事港湾庁(MPA)が主催した第12回シンガポール海事講座でマースクのCEOは、硫黄排出規制強化への対応策として、既存船にスクラバーを設置するには、十分なスペースを必要とすることなどから、同社は低硫黄バンカーの使用を対策として選択すると改めて表明した。一方で、現在バンカーとして使用されている重質油と比べて低硫黄バンカーの方が割高となることから、海運業界全体で500~600億米ドル、コンテナ海運業界だけでも100億米ドルのコスト増が予想され、海運業界にとって非常に大きな負担になることも指摘した。同社としては対策としてスクラバーの設置は選択しないものの、重質油と低硫黄バンカーとのトン当たり約200米ドルの価格差を考慮すれば、スクラバーに対する投資は比較的短期間で回収可能との見通しも示した。
      • 原文 Apr. 26, 2018, Seatrade Maritime News(野口美由紀)
    • 【2】 ReCAAP ISCが海賊事故報告窓口の一元化について円卓会議を主催
      • 4月25日、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)は、Rajaratnam国際関係研究所(RSIS)と共同で、2018年シンガポール海事週間のイベントの1つとして、IMOの海賊対策ガイダンス(IMO Circular MSC.1/Circ. 1334)に定められた沿岸国取締機関に対する全ての海賊事件等についての船長の通報義務に関して議論を行う円卓会議を開催した。円卓会議には、IMO、シンガポール海事港湾庁(MPA)、インド・マレーシア・フィリピン・タイ・ヴェトナムの沿岸警備隊、ReCAAP ISC・国際海事局(IMB)・情報統合センター(IFC)等の海賊情報共有センター、アジア船主協会(ASDA)・BIMCO・INTERTANKO・国際海運集会所(ICS)・OCIMF・シンガポール船主協会等の業界団体が出席した。業界団体からは、船長らの負担を考慮して、報告義務を合理化するために、報告窓口の一元化の可能性が提案された。円卓会議では、通報窓口の一元化の実現可能性について結論は得られなかったが、率直な意見交換がなされ、沿岸国における海賊対策能力の向上の必要性と各国の沿岸警備当局と海事関係業界の連携の強化の必要性が確認された。
      • 原文 Apr. 25, 2018, ReCAAP(長谷部正道)
    • 【3】 第105回IMO法律委員会結果概要
      • 4月23日から25日の間IMOで開催された第105回法律委員会の結果概要は以下のとおり。①カナダとトルコがHNS条約を批准し、既に批准しているノルウェーと併せて、条約の発効条件となっている対象貨物の総量4000万トン以上という要件の72%を3か国で満たすこととなり、数年の内に同条約が発効することが確実となった。②ノルウェーから、CLC証書とバンカー証書を完全電子化する作業を開始されたことが報告された。これらの証書の電子化により、保険会社と旗国の間の連絡が大部分デジタル・自動化されることとなる。証書の電子化により、船員の負担と人的ミスの削減、関係当事者間の迅速な情報共有が図れるとしている。③船舶の虚偽登録に伴う問題と海上自律運航船(MASS)に起因する現行条約の改正範囲の検討の2点が新たに法律委員会の審議事項に加えられた。
      • 原文 Apr. 26, 2018, IBIA(長谷部正道)
    • 【4】 マースクCEOが海運・造船分野の国家助成を批判
      • マースクのCEOが海運・造船分野における国家助成が現在の船腹過剰と運賃引き下げ競争の原因であるとして、国家助成の中止を求めた。特定の政府や海運企業を名指ししなかったものの、中国のCOSCO、韓国の現代商船、台湾の陽明海運が様々な形で国家助成を受けていることを念頭に置いたものと考えられるが、韓国政府や台湾政府は、雇用の確保や重要な輸出手段としての海運産業の維持のために今後とも政府支援を継続する見込み。外航海運の主要航路の運賃水準は再び下落の方向にあり、例えば、アジア=欧州航路におけるコンテナ1個当たりの輸送価格の損益分岐点は1400ドル程度と見込まれる一方で、実勢の運賃はこれの半額程度にも満たない600ドル程度で低迷している。海運の需給調査会社の見通しによれば、2018年における世界全体のコンテナ輸送需要は5.1%増加するものの、船腹供給量は需要を上回る6%の増加となる見込み。コンテナ輸送能力は2008年末に比較して概ね倍増している。
      • 原文 Apr. 26, 2018, WSJ(長谷部正道)
    • 【5】 IMO:バンカー中の硫黄含有分実績調査2017の概要
      • IMOの硫黄モニタリングプログラムとして毎年実施されている2017年分の船舶燃料油のサンプル調査結果がMEPC72に報告されたところ、その主な内容は以下のとおり。①検査対象となった残留バンカー中の平均硫黄分濃度が2016前年の2.58%より0.02ポイント増加し2.60%となった。②2012年から適用されている現在の規制値3.5%を超えたサンプルは全体の0.33%であった。一方、2020年からの規制値となる0.5%基準を満たしていたサンプルはわずか1.6%に過ぎなかった。③検査対象となった蒸留油バンカーの平均硫黄含有量は2015年から0.08%で変化はなく、約95%のサンプルで排出規制地域(ECA)の規制値である0.1%を下回った。
      • 原文 Feb. 1, 2018, IMO(野口美由紀)
    • 【6】 2018年第1四半期:152隻が南アジアで解体され、作業員10人死亡
      • 4月27日、NGO船舶解体プラットフォーム(Shipbreaking Platform: SP)は2018年の第1四半期の世界の船舶解体実績報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①同四半期においては、全世界で206隻の船舶が解体され、うち152隻がインド・バングラデシュ・パキスタンの南アジアの海岸で解体された。②バングラデシュのチッタゴンでは解体中の爆発事故や転落事故などで10人の作業員が死亡、2人が重症を負ったほか、インドのアランでも有毒ガスの漏出で2人の作業員が死亡した。③大多数の船主が、解体現場の惨状を知りながら、南アジアの海岸で船舶を解体する原因は、南アジアの解体場に売却する方が、適正な解体を行うトルコや中国の船舶解体場に売却する場合と比べて、はるかに高額で売却できるためである。中国で解体する場合、船価は南アジアの半分以下の水準となるので、当該期間中、中国で解体された船舶はわずか7隻に過ぎなかった。④国別にこうした不適切な解体が行われた船舶の隻数を見ると、最悪なのが韓国とUAEでそれぞれ14隻ずつとなっており、会社別でみると最悪なのが韓国のシノコーで7隻を南アジアの海岸で解体している。
      • 原文 Apr. 27, 2018, Shipbreaking Platform(野口美由紀)
    • 【7】 バリクパパン油濁事故を起こしたパナマ籍船の中国人船長が訴追
      • 3月31日、インドネシア領東カリマンタンのバリクパパンで発生した大規模油濁・火災事故により、漁師5人が死亡したが、東カリマンタン警察は、事故の原因として、水先人の警告を無視して、投錨禁止海域に錨泊したパナマ籍船MV Ever Judger号の錨が海底に敷設されていた国営PT Pertamina社のパイプラインを損壊したものと認定し、同船の中国人船長を環境保護法99条違反及び刑法359条違反(過失致死)の容疑で送検した。
      • 原文 Apr. 26, 2018, The Jakarta Post(長谷部正道)
    • 【8】 USCGが建造予定の6隻の砕氷巡視船の建造について環境影響評価手続を開始
      • 米沿岸警備隊(USCG)は、計画されている6隻の砕氷巡視船の建造に関して、国家環境政策法に基づく環境影響評価書(Environmental Impact Statement: EIS)を作成するための準備としてパブコメを開始した。関係者は、砕氷巡視船を建造・運航することによって発生する可能性のある環境影響やEISにおいて検討されるべき代替策など幅広い事項について意見を提出することができる。USCGはアンカレッジ等、数か所で今後公聴会を開催して、EISの中で考慮されるべき様々な課題や代替策について意見を徴収したうえで、EISの案を作成し、さらにパブコメにかけるという手順を踏むこととなる。
      • 原文 Apr. 26, 2018, Coast Guard Maritime Commons(長谷部正道)
    • 【9】 バルチラがシンガポールにサイバーセキュリティアカデミーを設立
      • バルチラはサイバーセキュリティの専門会社であるTemplar Executivesと提携して、船主や船社に包括的なサイバーセキュリティ対策を教えるアカデミーをシンガポールの同社デジタル化促進センター内に設立すると発表した。アカデミーにおいては、船社幹部に対するサイバーセキュリティに関するコーチングから、海事関係のあらゆる階層の関係者にサイバーリスクの危険性を周知するようなコースまでサイバーセキュリティに関する様々なトピックを扱い、シンガポールばかりでなく、同じ内容の授業がオンラインでロンドンでも受講することができる。アカデミーにはサイバー攻撃に関する実際の事例や経験を共有するためのサイバー攻撃報告ポータルも設けられる。
      • 原文 Apr. 26, 2018, バルチラ(長谷部正道)
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