2018/4/24 LROニュース(6)

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  • 2018.04.25 UP
    2018/4/24 LROニュース(6)
    • 【1】 デンマーク海事庁がDigital Twin構想に関する報告書を発表
      • 3月20日、デンマーク海事庁(DMA)がDNV GLに委託して研究を行ったDigital Twin構想(実際の船舶に関するあらゆる情報をデジタル化してプラットフォーム(Digital Twin: DT)を作成し、関係者が様々な目的に当該デジタル情報を利活用できるようにする構想)に関する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①最新の船舶のシステムはますます複雑で統合されたものになってきており、理想的に船舶を運用するためには、統合的なシステムを構成するそれぞれのサブシステムが個別にかつ相互に連携して理想的に機能しなくてはならない。②船舶の設計者・システムを統合設計する者・システムを運用する者は、個々のサブシステムが互いにどのように影響しあい全体のシステムのパフォーマンスや健全性にどのように影響するかきちんと理解する必要がある。③以上のような必要性を踏まえて、DTはリアルタイム情報を含む船舶に関するあらゆる情報をデジタル化して関係者が共有するためのプラットフォームとして機能する。④船主・舶用機器製造事業者・規制当局・研究機関・船員教育機関等の全ての関係者がDTを活用することによって大きな利益を受け、デンマークの海運経済(Blue Economy)の発展に資することとなる。
      • 原文 Mar. 20, 2018, DMA(長谷部正道)
    • 【2】 英国政府首席科学顧問が「海洋の未来」報告書を発表
      • 3月21日、英国政府首席科学顧問が「海洋の未来」報告書を発表したところ報告書中の提言の主たる概要は以下のとおり。①英国は海洋に関する諸問題について明確な優先順位をつけて、より戦略的な取り組みを行う。②経済面では、自動化技術を含む世界的に成長が見込まれる分野を特定し、英国の産業界のために長期的な視野に立ったプラットフォームを創設する。③環境面では、海洋生態系を保護し海洋の長期的な持続可能性を保持するために、生物多様性に対する主たる脅威への取り組みを推進する。④国際協調の面では、気候変動問題等に対し、安定的で効果のある世界的な海洋ガバナンスを促進・支持・強化する。
      • 原文 Mar. 21, 2018, 英科学省(長谷部正道)
    • 【3】 船舶の”Digital Twin”作成のためのOSPに現代重工業等が参加
      • 2017年7月に、ロールスロイスマリン、ノルウェー科学技術大学、北欧最大の独立系研究機関のSINTEF、DNV GLは新たな船舶を開発するための公開デジタル情報プラットフォームを設立するために、「公開シュミュレーションプラットフォーム(Open Simulation Platform: OSP)」を結成した。OSPはデジタル技術を使用して、実際の船舶に関する情報を集めて、船舶のデジタルコピーであるDigital Twin(DT)を作成して、船舶の設計・保守管理・船舶の製造・船舶の一生にわたる持続可能性の最適化を図ることを目的としているが、3月21日、現代重工業・コングスバーグデジタル・造船会社のVard社・オフショアシミュレーターセンターが新たなメンバーとして加わった。OSPは更なる企業の参加を歓迎している。
      • 原文 Mar. 21, 2018, ロールスロイス(長谷部正道)
    • 【4】 地球温暖化に伴う海面上昇などに対処するため港湾の高額な改修費が必要
      • 【4】HSBC銀行はAsia Research and Engagement (ARE)社に委託し、日・中・香港・台湾・シンガポール・豪・印・韓・マレーシアの53の大規模港湾を対象に、地球温暖化による海面上昇と台風の増加に対するために必要な改修費と、自然災害に伴う港湾の業務停止のコストを算出したところその概要は以下のとおり。①必要改修費と業務停止のコストの総額は310億ドルから490億ドルとなるが、有効な地球温暖化対策が取られなければこのコストはさらに増える可能性がある。②最も多くのコストがかかると予測されるのが、日本の北九州港で49億ドルが必要と予測され、アジア太平洋地区の10大港湾のうち半数の5港においてはそれぞれ10億ドルを超えるコストがかかることが予測される。③気候変動に対応するための経費は港湾建設の設計段階で対応しておけば、建設後に改修するのに比べて安価に抑えられるので、中国の一帯一路政策の下に新たな港湾を建設するにあたっても、建設計画の時点で将来的な気候変動を見越した設計をすることにより、事後的な高額な改修費を回避することができる。
      • 原文 Mar. 21, 2018, Thomson Reuters Foundation(長谷部正道)
    • 【5】 地中海の船舶登録国はIMOでも環境問題に後ろ向きの姿勢
      • 海運におけるGHG削減の取組意欲に関して、持続可能な交通を目指すNGO「交通と環境(Transport & Environment : T&E)」 は、EU加盟国がIMOに提出した文書や会議中に発言した内容をもとに欧州国別ランキングを作成し、3月22日に発表した。それによると、海運のGHG削減に最も前向きな国は独、ベルギー、仏で、これに蘭、西、スウェーデン、英、デンマーク、ルクセンブルグ、フィンランドが続いた。逆に最も消極的な国はギリシャ、キプロス、伊、ポルトガル、クロアチアであった。マルタもマイナスの評価だったことから、EUの最大船籍登録国であるマルタ、ギリシャ、キプロスは総じて気候変動対策に後ろ向きという評価になった。また、地域的な分裂も明らかになり、北部欧州諸国は非常に野心的な一方、スペインを除いた南欧・東欧諸国は取組意欲に欠ける結果となった。ランキング全体は以下のリンクを参照。
      • 原文 Mar. 22, 2018, T&E (野口美由紀)
    • 【6】 米軍の将軍たちが米議会で北極海における露の優位と米の対抗力の不足を証言
      • 冷戦終了後、北極は世界の中の政治的な軋轢とは隔絶された各国の平和協調の場と見なされ、北極評議会の活動は、ノーベル平和賞にもノミネートされていたが、こうした北極海の例外的な平和協調の精神が、最新急速に脅威にさらされている。米上院軍事委員会で米海軍太平洋艦隊司令官と米陸軍欧州軍司令官が北極圏における露軍の脅威と米軍の対抗力の不足について証言を行ったところその概要は以下のとおり。①露軍は北極圏に他の北極評議会諸国の全ての基地の合計より多い軍事基地を有している。②露軍はこうした多くの基地を活用して、北極圏における作戦能力の質的優位性をさらに高めている。③北極における捜索救難能力の向上という名目で急激に整備された基地は、救援機ばかりでなく大型の爆撃機や戦闘機が離発着できる滑走路を兼ね備えている。
      • 原文 Mar. 22, 2018, High North News (長谷部正道)
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