2018/12/13LROニュース(6)

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  • 2018.12.14 UP
    2018/12/13LROニュース(6)
    • 【1】 デンマーク政府が新たな海賊対策4年計画を作成
      • 【1】デンマーク政府が11月30日に示した、2019年から2022年の4年間における海賊など海上犯罪に対する同国の方針によれば、デンマークは自由な航海の保護、海上治安の強化、デンマークの国益・デンマーク関係船舶・国際海運の保護、海賊等海上犯罪のリスクと脅威の低減を目的として、現地の海賊・海上犯罪撲滅のためのキャパシティビルディング、地域的及び国際的協力の促進、軍事・民生・法律・政治・財政の広範な分野にわたる方策を実施していくとしている。これらの方策はギニア湾及びソマリア沖に特に焦点をあてて、産学を含むあらゆるデンマーク国内の関係者と協調して実施される。
      • 原文 Nov. 30, 2018, デンマーク海事局(武智敬司)
    • 【2】 スリランカの親中政権が議会の同意なしに2件の港湾事業を中国企業と契約
      • 【2】インドはスリランカの前政権に対して、10億ドルの借款を供与してコロンボに外国が運営管理する同国としては2番目のコンテナターミナルを整備することを提案し、この案を支持する前首相が、これ以上外国からの借款を増やすことに否定的な大統領から更迭され、親中派でハンバントータ港の建設と中国からの借款に深くかかわった前大統領が新首相に任命された。これに対し、議会多数派の党首である前首相は議会の場で徹底抗戦し、議会は現首相の任命と現政権が締結した契約はすべて無効であると宣言したため、新政権は外国政府から正当な政権として承認を受けることができず、スリランカの国内政局は中国とインドの綱引きの中で大混乱し、誰が実際に国の政策を決めることができるのか不透明な状況になっている。こうした混乱に乗じて、親中派の新首相は、併せて5000万ドル以上の規模の2件の港湾開発事業契約を、11月29日、中国の企業と締結したことが新たな波紋となっている。
      • 原文 Nov. 29, 2018, Reuters (長谷部正道)
    • 【3】 WTOがブロックチェーン技術が国際貿易に与える影響を分析した報告書を発表
      • 【3】11月27日、WTOはブロックチェーン技術をわかりやすく解説し、同技術が国際貿易をどのように変えていく能力があるのかを分析した報告書を発表した。報告書は同技術を不正な改ざんが困難で集権化されていない契約の記録技術と位置づけ、参加者が協力し、互いに信頼しあうシステムと位置付けている。また異なるブロックチェーン技術がWTOの対象となる様々な分野でどのように適用され、貿易契約のペーパーレス化の促進など、貿易の円滑化にどの程度貢献できるか検討している。さらに具体的に、決済機能・保険・契約の自動化・知的財産権・政府調達などの各論点について、同技術利用の可能性と限界も吟味している。また、同技術活用のメリットとして、貿易コストの削減・サプライチェーンの透明性の向上・中小零細企業に新たな事業機会を与えることなどを挙げている。
      • 原文 Nov. 26, 2018, WTO (長谷部正道)
    • 【4】 米国務省がヤマルLNGの欧州市場輸出強化に対して懸念を表明
      • 【4】ノルウェーにおける船舶から船舶へのLNG積み替えが11月から開始され、ヤマルLNGの欧州市場への効率的な輸出体制が整ったことについてコメントを求められた米国務省担当者は、「米国と欧州は欧州が輸入するエネルギー資源の多様化の観点から、エネルギーの種類の多様化、エネルギー輸入ルートの多様化、調達国の多様化に取り組んできたが、欧州諸国の露LNGへの依存度は、現状でも大きな割合を占めており、今回の輸出体制の強化により、欧州諸国がさらに露LNGへの依存度を増すことは、欧州のエネルギー安全保障上好ましくない。」と発言した。米国は従来、独をはじめとする欧州諸国に対し、露からバルト海を経由して欧州市場に達するNord Stream 2パイプライン建設構想に反対し、安い露のLNGへの依存度を減らし、割高な米のLNGを購入するように迫っていたが、欧州諸国は抵抗していた。露のオスロ大使館関係者はこうした米国の介入に対し、「不公正な競争を招く、自由貿易体制へのあからさまな挑戦だ。」として反発している。
      • 原文 Nov. 30, 2018, Reuters (長谷部正道)
    • 【5】 地球温暖化緩和措置として二酸化硫黄を成層圏に散布することの是非
      • 【5】(論説)11月23日に米ハーバード大学等の研究者が学術誌に発表した論文で、大規模な火山噴火による地球の冷却効果をヒントに、二酸化硫黄などの化学物質を成層圏に噴射して太陽熱を遮り地球の温暖化を緩和することが提案されている。本技術開発に必要な費用は今後15年間で35億ドル程度で、人類の活動によってもたらされる地球温暖化効果を半減することが可能となる。こうした地球工学的な緩和対策は、先日発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の中でも、地球温暖化緩和対策として選択肢の一つとして取り上げられ、他の緩和対策と比べて実施コストが安い対策として位置づけられている。しかし、大気中に放出された硫黄と他の物質との化学反応や大量の二酸化硫黄がオゾン層に与える影響、太陽光の突然の変化で農業や水系に与える影響等、副次的悪影響が解明されていないことや、この対策を実施した後に起こる自然現象の変動リスクを政治家がとることは考えられないところ、現状では誰もこの施策が実際に実施されるとは考えていない。
      • 原文 Nov. 28, 2018, Live Science(野口美由紀)
    • 【6】 COP24:主要国の政治的支援がない中での苦戦が予想されるUNFCCC事務局長
      • 【6】(論説)交渉の難航が予想されるCOP24で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長として各国の調整役が期待されているエスピノサ氏は、2010年にメキシコで開催されたCOP16の主催国の議長としてカンクン合意をまとめ上げ、その手腕が広く信頼されている。しかし、米国のトランプ政権による協定離脱、豪の気候変動ファイナンスからの撤退、独における石炭廃止時期をめぐる紛糾、ブラジルによる気候変動懐疑論者の外相任命、主催国ポーランドの石炭産業の擁護など気候変動をめぐる政治状況はこの3年で悪化の一途をたどっており、パリ協定締結時に見られた主催国の熱意やオバマ大統領の指導力のような政治的支援が期待できない状況にある。今回のCOPでは、先進国と途上国との間の対立が、地球温暖化ガス(GHG)の削減方法や先進国の資金支援方法について、既に先鋭化しており、協定実施に関するルールが緩すぎれば、GHGの削減や先進国の資金供与の着実な実施が担保されず、ルールが厳しすぎれば、途上国の経済成長阻害要因となるといった難しい状況の中で、各国が事務局長に期待する調整役としての役割は大きくかつ難しいものとなっている。
      • 原文 Dec. 2, 2018, Climate Change News(野口美由紀)
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