2018/11/7 LROニュース(6)

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  • 2018.11.08 UP
    2018/11/7 LROニュース(6)
    • 【1】 カナダ:2019年に炭素価格付け制度を全土に拡大
      • 加政府はこの2年、州や準州と連携して気候変動対策に取り組む中で、各州に炭素汚染への価格付けを含めた各州独自の気候計画の策定を促してきており、炭素価格付け制度についてはすでに多くの州が独自制度の策定を行っているか連邦制度の適用を決定しており、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州、ケベック州ではすでに独自制度を開始している。しかし、オンタリオ州、ニューブランズウィック州、マニトバ州、サスカチュワン州の4州については取組が進んでおらず、10月23日、同国首相は上記4州について連邦制度を義務付けることを発表した。連邦制度は、化石燃料への課金とエネルギー消費の多い産業に対する排出権取引制度(output-based pricing system:OBPS)の2種類から成り、OBPSの適用は2019年1月から、化石燃料への課金は同年4月から実施される。同制度で集まった税収については、同制度実施地域の住民に還付され(気候行動インセンティブ支払い:Climate Action Incentive payments)、ほとんどの世帯で実際の支払額以上の還付金を受け取れることになる他、各市の行政や学校、病院などにも配分され、エネルギー効率の改善やGHG排出削減に役立ててもらうことになっている。
      • 原文 Oct. 23, 2018, カナダ政府(野口美由紀)
    • 【2】 デンマーク船主協会:船員の労働条件等に関するEUの独自規制に強く反対
      • 2017年にヨーテボリで開催されたEUの社会サミットでEU各国は、域内における社会・雇用政策に関する基本的な権利を保障するための法的拘束力のない20の宣言を採択したが、この宣言を受けて、欧州委員会は「EU域内における透明で予見可能な労働条件」を担保するため「労働条件指令(Working Conditions Directive)」を提案し、欧州における労働市場のすべてに適用される最低労働条件に関する規則を導入し、海運業にも適用しようとしている。海運分野における船員の労働条件についてはILOの海上労働条約(MLC)やIMOのSTCW条約で国際的に既に規定されていることから、デンマーク船主協会は海運をこの命令の適用除外にするように働きかけたが、欧州議会の雇用・社会問題委員会であっさり拒否された。もし既存の国際規制に加えて、船員を保護するためのEU独自の規制が導入されれば欧州の船社の国際競争力を損なうとして、デンマーク船主協会は引き続き、欧州議会や理事会に海運分野の適用除外を働きかけていく。
      • 原文 Oct. 29, 2018, デンマーク船主協会(長谷部正道)
    • 【3】 英国立海洋学センターが大西洋の様々な海洋情報の取集にロボットを活用
      • 英国立海洋学センター(National Oceanology Centre: NOC)は、従来、18か月ごとに海洋調査船をアフリカ西岸から米国東岸に航海させることにより、RAPIDと呼ばれる200以上の計測機器を使用して、大西洋の海水温・塩分濃度や「大西洋子午面循環(Atlantic Meridional Overturning Circulation: AMOC)」と呼ばれる海流の流れなど様々な海洋情報を収集し、欧州の気象予測などに活用してきた。これらの計測機器は場合によっては5㎞以上の深海底に沈められた錨から海面の直下まで伸びる繋留索に取り付けられているが、今回の実験ではこの繋留索にNOCの研究所で開発された発信機をとりつけ、この発信機が繋留索に取り付けられているすべての計測計により収集された情報を一括してまとめて、音波信号で海面に浮いている海洋ロボットのWave Glider(WG)に転送し、WGが衛星通信を介して、NOCにいる研究者に観測情報を送ることができる。この新たなシステムは試験段階では600mの水深で短期間運用することに成功しているが、今回は水深約4000mの海域で18か月間にわたって自律運用することを目標としている。NOCは既にRAPID計画のもと、熱帯海域の熱を欧州北西部に還流させ、気候を安定化させる役割を果たしているAMOCについて10年以上にわたって観測調査を続けている。
      • 原文 Oct. 25, 2018, NOC(長谷部正道)
    • 【4】 ナイジェリア沖で海賊が船員11名を拘束
      • 10月27日の早朝、ナイジェリア沖でコンテナ船が海賊の襲撃を受け、ポーランド人8人を含む船員11人が拘束されたとコンテナ船の管理会社等が明らかにした。管理会社によれば、襲撃時コンテナ船はナイジェリアのオン港向け航行中で、コンテナ船には9人の船員が残されており、この9人は無事である。管理会社は誘拐された船員の早期解放を第一に、現地当局や関係機関と密接に協力している。
      • 原文 Oct. 29, 2018, Reuters(武智敬司)
    • 【5】 欧州議会:欧州委員会の使い捨てプラスチック使用禁止法案を強化し可決
      • 10月24日、欧州議会は5月に欧州委員会が提出した使い捨てプラスチック使用禁止法案の採決を行い、賛成多数で可決したところ、法案の主な修正内容は以下のとおり。①欧州委員会が提示していた皿やフォーク、ナイフ、ストローなどの使い捨てプラスチック製品の流通を2021年以降禁止する。②流通禁止の対象には、酸化型生分解性プラスチック(oxo-degradable plastics)のレジ袋や食品容器なども新たに追加する。③青果物の容器など代替品が存在しないプラスチック製品については、加盟国は2025年までに少なくとも25%削減すること。④たばこのフィルターは2025年までに半減、2030年までに80%削減すること。⑤加盟国は投棄されているプラスチック製漁具のうち少なくとも50%を毎年回収し、2025年までに少なくとも15%をリサイクルすること。
      • 原文 Oct. 24, 2018, 欧州議会(野口美由紀)
    • 【6】 英国のEU離脱がEUとの海洋学共同研究に及ぼす影響
      • Euro-Argo事業の下で、仏は30か国の沖合に、海水温と塩分濃度を継続的に観測する自律海洋観測ブイを既に3900個設置し観測を担当している。このブイは何年間にもわたって保守管理無しで、観測した情報を10日ごとに衛星経由で自動的に送信してくる。この結果、海面の温度は1872年から現在までに0.6℃上昇し、海面の下の海水温は2006年から2017年の間のわずか10年ほどで0.3℃上昇したのが分かった。Euro-Argo事業は欧州の12か国が資金を供出し、2019年から4年間分の400万ユーロの資金は確保しているが、今後さらに世界の海洋の状況を把握するためには、北極海や南氷洋を含む遠隔地に引き続き観測ブイを設置していく必要があり、英国離脱の影響が懸念される。こうした英国のEU離脱の影響は欧州宇宙機関(ESA)の衛星を利用して英仏海峡のマイクロ藻類や有害なマイクロプランクトンの生態を研究するEuro Hab事業など他の共同研究事業でも懸念されている。
      • 原文 Oct. 30, 2018, Euractiv (Julie Harper)
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