2018/11/6 LROニュース(6)

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  • 2018.11.07 UP
    2018/11/6 LROニュース(6)
    • 【1】 インド洋における日印協力
      • 10月28日から印のモディ首相が訪日し安倍首相と会談を行うが、この会談では両国の物品役務相互提供協定(ACSA)について交渉が行われると思われる。日印ACSAが締結されれば、日本の艦船はアンダマン・ニコバル諸島の印海軍基地で補給等を受けることが可能となるとともに、印海軍も日本の海自施設で修理等を受けることが可能となる。日印ACSAは、中国艦船のインド洋進出を受けて議論となってきた。建前上、中国海軍はソマリア沖の海賊対策のためインド洋に艦船を展開しているが、海賊対策には不向きな潜水艦が救難艦を伴って、ソマリアから離れた東インド洋で今月探知されている。インド洋をめぐる日印米豪4か国協力の形成に対しては、中国を第1の貿易相手国とする豪に躊躇がみられる。インド洋にレユニオン、マヨットなどの海外領土を有する仏は、今年3月に印首相と防衛協力に合意するとともに、航行の自由確保のためインド洋への空母派遣を10月20日に表明するなど、中国に対抗して南太平洋とともにインド洋でもプレゼンスを拡大している。
      • 原文 Oct. 26, 2018, ASIA TIMES(武智敬司)
    • 【2】 露潜水艦対策に傾注するNATO
      • 10月25日、過去数十年で最大規模のNATOによる軍事演習であるTrident Junctureがアイスランドなどで始まり、米空母を含む兵員5万人、車両1万台、航空機250機、艦艇65隻が参加している。西側諸国とロシアの緊張関係が冷戦期以降最大に高まっている中、在欧州米海軍司令官は、北大西洋及び北極海での露潜水艦のプレゼンスの拡大を指摘している。同司令官によれば、露海軍は保有する40隻以上の攻撃型潜水艦のうち20隻以上を、北大西洋及び北極海を管轄する北方艦隊に配備しており、これらの潜水艦を追跡するため、NATOはアイスランドのKeflavik空港の旧米軍基地から1日おきに航空機を飛ばしている。この基地は1951年に米軍基地として設置され、NATOの地中海重視の方針によって2006年に廃止されたものの、露潜水艦の脅威の復活に伴い、露の海軍基地と北大西洋、北極海との間に位置するアイスランドの地理的重要性を受けて再開された。同司令官は、露は潜水艦の研究開発と高性能な潜水艦の建造を続けており、NATOにとって頭痛の種としている。他方、この問題についてハワイ太平洋大学教授の元米海軍大佐は、NATOが自らプレゼンスを低下させた地域で露が活動を活発化しているのであり、NATOが他の脅威に傾注して露を無視してきた結果であると評している。
      • 原文 Oct. 25, 2018, CNN(武智敬司)
    • 【3】 仏・伊の造船業協会が研究開発の分野で協力していくことに合意
      • 欧州海軍展示会で、仏の造船業協会(ASSONAVE)と伊の造船業界(GICAN)は、アジアの造船業界に対抗して、今後10年間に集中すべき5分野を特定し、民間・軍需両技術開発分野で連携することを確認する合意文書に署名した。特定されたのは具体的にGreen Ships(環境技術)、Smart Ships(デジタル化)、自律運航船、Smart Offshore Infrastructure, Smart Yardsの5分野。さらに分野ごとに、2030年と2050年を目標とした中核技術も特定した。今後、仏・伊の造船業協会は欧州内の他の造船業界にも声をかけて、欧州全体の造船業界の発展のために欧州全体としての研究開発計画を共有していくことを目指している。
      • 原文 Oct. 26, 2018, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】 MEPC73:硫黄含有分規制について2020年からの規制実施を確認
      • 硫黄含有分規制の開始時期について、IMOの MEPC73では2020年からの規制開始を改めて確認したが、パナマ等の主要船舶登録国と不定期船業界団体等が提案していた猶予期間(Experience-Building Phase: EBP)の導入については、議長が提案内容が具体性に欠けると指摘し、提案国が望むのであれば、規制適合燃料油の供給可能性に関する情報の収集や規制適合ブレンド油の品質問題等に焦点を絞って案を具体化し、2019年5月のMEPC74に再提案をすることも可とされた。また米代表(USCG)は2020年から規制が実施されれば米大統領選挙が実施される同年の冬にディーゼル油・蒸留油・暖房用の油価格が急騰する可能性があるため、「現実的な対応(pragmatic approach)」がとれるよう、引き続き有志国とともに提案内容を詰め、MEPC74に提案するため米国政府として尽力することになろうと語った。
      • 原文 Oct. 26, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【5】 MEPC73:環境NGOがGHG排出削減に向けた取組の遅れを批判
      • 10月26日、環境関係NGOの連合体であるクリーン海運連合(Clean Shipping Coalition: CSC)は、IMO MEPC73において海運のGHG排出削減に関する具体的な協議が手続き上の問題で停滞したことを非難し、危機感の無さは、1.5℃特別報告書を発表した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の研究者らの切々とした訴えとは対極にあると厳しく批判した。4月のMEPC72では、船舶からのCO₂の排出実績を踏まえた本格的な対策が決定される2023年を待たずに実行可能な短期的なCO₂削減対策をとることが合意されていたが、今会合での短期的対策の検討は、米・サウジアラビア・ブラジル等の抵抗にあって、2019年5月の次期会合に持ち越しとなった。CSCが短期対策として推奨している減速運航の義務化は、適切に実施すれば2030年までに海運からのCO₂を40%削減するという目標を達成できるものだが、海運業界は減速運航に反対し、その代替案も提示しなかった。
      • 原文 Oct. 26, 2018, Clean Shipping Coalition(野口美由紀)
    • 【6】 MEPC73:自船の燃料として使用する高硫黄燃料油の海上輸送を禁止
      • IMO MEPC73では、スクラバーを搭載していない船舶が自己の船舶の動力源として燃焼するために硫黄含有分の高い非適合油を2020年3月1日以降輸送することを禁止する改正MARPOL 条約が採択された。本改正の施行日が3月1日からであることをもって、2020年規制自体が同年1月1日から適用開始されることを変更するものではない。本要件により、PSC時に実際に不適合油を使用してなくても不適合油を使用目的で積載しているだけで取り締まりできるようになることは規制取締の効率的な実施の観点から意味がある。同時に、船社や船主が「船舶規制実施計画(Ship Implementation Programme: SIP)」を作成するのを支援するためのSIPガイダンスがMEPCで承認された。ガイダンスには、新たな規制適合燃料油に対するリスクの評価と対策に関する計画、必要に応じた燃油系統の調整やタンクの清掃の方法、適合油の購入、重油から適合油への燃料油切り替え計画等について指針が示されている。
      • 原文 Oct. 26, 2018, IMO(野口美由紀)