2018/10/12 LROニュース(5)

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  • 2018.10.15 UP
    2018/10/12 LROニュース(5)
    • 【1】 硫黄分排出規制強化対策:マースク、一部船舶にスクラバーを搭載
      • 硫黄分排出規制強化対策として、従来からスクラバーの搭載には否定的な見解を示していたマースクだが、このほど所有する船舶の一部にスクラバーを搭載する方針を固めたことをMaersk Oil Tradingの社長が明らかにした。ただ、スクラバーへの投資はあくまで規制強化に備えたマースクの2020年燃料調達戦略の一部に過ぎないとしている。エネルギー研究者の間では、最近の相次ぐスクラバーの発注で高硫黄燃料油の需要は当初の予想より高まると見ているが、スクラバーの搭載・運用に係るコストや将来の排出規制に関する不確実性から一般には低硫黄適合燃料油への切り替えが規制遵守の最も現実的な対策だと見られている。そのため、同社長も最善の解決策は燃料精製業者が低硫黄適合燃料油を供給することだと主張している。
      • 原文 Sep. 12, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【2】 硫黄分規制:2020年には多数の船舶で規制不適合が不可避
      • 2020年1月の船舶燃料の硫黄分規制実施まで残り15か月となり、この間に約6万隻の船舶が燃料タンクを洗浄する必要がある。予想される方策としては、-①2020年以前にドックで燃料タンクを洗浄し、以後は低硫黄燃料を使用する。②高価な低硫黄燃料の消費をできるだけ避けるため、2019年末に燃料タンク洗浄を予約する。ただしタンク洗浄業者の予約が集中し、もう手遅れの可能性もある。③低硫黄燃料の供給が確保できることを前提に、2019年中旬から低硫黄燃料を使用し、燃料タンクが低硫黄燃料で自然に洗浄されることを期待する。④2019年第4四半期からMGO(A重油)を使用し、燃料タンクが洗浄されることを期待する。⑤燃料タンクが洗浄されるまで当局に摘発されないことを祈りながら、2019年末から低硫黄燃料に切り替える。-が考えられる。これらの方策はコストがかかるほか、③~⑤については当局に摘発され、罰金や勾留などが科される恐れがある。低硫黄燃料を使用して燃料タンクの洗浄を図ると、蓄積した腐食性粒子が燃料清浄機やフィルターを詰まらせる可能性もある。スクラバを搭載すれば、燃料タンク洗浄も低硫黄燃料の使用も必要なくなるが、多くの船舶がスクラバ搭載を図るとみられ、規制開始当初は生産が追い付かないと思われる。IMOは2020年に向けてこの問題の解決を図ってきたが、2020年前半の段階では多くの船舶が規制不適合となることは不可避である。
      • 原文 Sep. 14, 2018, Ship & Bunker(武智敬司)
    • 【3】 Gardが粗悪燃料油対策として燃料油供給契約書への注意を喚起
      • 粗悪燃料油の拡大に関連して、燃料油供給契約書について船舶所有者・用船者が注意すべき事項をGardが9月13日に注意喚起を行ったところ概要以下の通り。①燃料油供給契約において、供給すべき燃料油を明確に指定し、要求段階において燃料油に異常成分が一切含まれていないこと、燃料油が目的に合致したものでなければならないことをサプライヤに伝える。しかし、供給された燃料について汚染やISO8217第5条違反を指摘しても契約条件の範囲内と主張される可能性があることには留意が必要。②燃料油供給契約書を注意深く読み、契約条件が変更されていないか過去の契約書と比較するなどして確認する。③燃料油供給契約書がサプライヤに有利になっていないか確認する。Gardはより公平なBIMCO標準バンカー契約書の使用を推奨する。ISO8217については、異常成分が含まれてはならないことを契約で明記すべき。④納品前検査としてガスクロマトグラフィー質量分析法やフーリエ変換赤外分光法等の高度な検査を契約に盛り込み、サプライヤにこれらの検査について契約上の責任を持たせる。⑤燃料油供給契約に適用される法律や裁判管轄を再交渉できない場合、少なくとも当該裁判管轄においてどのようにバンカー紛争が扱われているか熟知しておくこと。⑥燃料油供給契約には必ず責任制限条項があり、通常は燃料油の費用に制限され、時間的損失やエンジン修理費用などの間接的な損害は除外されることを認識する。
      • 原文 Sep. 13, 2018, Gard(武智敬司)
    • 【4】 ロシア海軍がベーリング海で大規模演習を実施
      • 西側諸国との緊張が高まる中、ロシアはソ連崩壊以来最大規模の軍事演習として30万人の兵士と1000機の航空機、2個艦隊が参加する「ボストーク(東方)2018」をシベリアとロシア東方沖で9月17日までの間実施し、ロシア国防省はベーリング海での北方艦隊所属の駆逐艦と揚陸艦による模擬救難訓練の映像を公表した。また同国防省は空挺部隊の降下の模様や、S-300長距離地対空ミサイルシステムとブーク中距離防空ミサイルシステムによるミサイル発射の映像も公表した。
      • 原文 Sep. 14, 2018, Reuters(武智敬司)
    • 【5】 北極に関する英国の防衛上の課題
      • 8月中旬に英国下院軍事委員会に提出された「薄氷を踏む北極における英国の防衛政策」と題する報告書で勧告された概要は以下のとおり。①北極における気候の変動は安全保障の面でも変化をもたらしている。②北極は通常の国際法が適用されない特殊な地域であるという考え方が拡大する恐れがあり、スヴァールヴァル諸島におけるロシアの冒険主義的な危険な行動が良い例である。③北極海の国際化に従い、北極評議会以外の国々も北極海に大きな関心を抱くようになった。英国政府は同盟国と協力して、大国間の競争が紛争を拡大しないように国際法がきちんと適用されるよう努めるべき。④冷戦時代の規模には至っていないが、英国と他の欧州諸国にとって戦略的に極めて重要な北極圏および北大西洋におけるロシアの脅威に対して、包括的な戦略を持って対処していく必要がある。⑤上院北極委員会が指摘しているとおり、政府の極圏担当部局が南極に重点を置きすぎて北極問題の優先順位が落ちており、また政府部局内で北極問題に関する責任と権限が広く分散化されているのも政府として整合的な政策をとる観点から懸念される。政府部内の各部局の政策の整合性をとり、北極問題における英国のプレゼンスを確保するため北極問題担当大使を任命すべき。
      • 原文 Aug. 15, 2018, 英国議会(長谷部正道)
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