アセアン地域4か国の海上災害防止専門家への研修開催

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2012年1月23~27日、日本海難防止協会は日本財団の支援の受け、東南アジア4カ国の海上災害防止のための専門家8名を東京に招き、研修を行いました。

 

近年の工業化に伴い、アセアン地域におけるHNS(有害化学物質)貨物の海上輸送量は増加していると考えられています。一方で、このような貨物を運んでいる船舶が事故を起こし、積荷であるHNSが海上に流出すると、付近の海洋環境の破壊、爆発・炎上などによる海上交通の障害、さらに有毒な煙や蒸気によって周辺で生活している人々の健康に大きな被害を与えます。

 

そこで、このような災害が発生した場合に、ブルネイ、マレーシア、フィリピン及びタイの4か国で、現場で防除作業を行う専門家を東京に招き、専門的な講習の実施、日本の専門家の訓練の紹介、さらに最新の資器材の視察を行いました。

 

5日間の研修の1~2日目はセミナーを開催し、専門家による講演で過去の事故の様子や現場での対応方法などの知識を獲得するとともに、フィリピンからの参加者から、同国でのHNS対応の様子や今後の活動予定などの紹介を受け、現場で安全に災害対応するための知識の共有を行いました。

 

 

 

 

 

3日目には横浜の海上防災基地を訪ね、日本における海上災害対応の専門家である海上保安庁のNST(機動防除隊)から、同隊の組織構成、HNSに関する基本的な知識、実際の対応事例の紹介などを受けました。さらに午後からは、災害の現場で使用する保護具の着用方法やガス検知器の取扱い方法の研修を受け、さらに実際の災害現場を想定した実習を実施しました。

 

 

 

 

4日目は防護資器材製造の老舗である重松製作所を訪問し、呼吸保護具の説明を受け、さらに各種保護具を実際に装着し、注意点などを体感しました。また、東南アジアからの参加者にとって、高温の中での防除作業は体力の消耗も激しいことから、重松製作所で製造している個人用の冷却システムに高い関心が示されました。

 

 

 

 

最終日には日本のガス検知器のトップメーカーである理研計器株式会社を訪問いたしました。同社では、有害なガスや一酸化炭素の有無の検知や、酸素濃度を測定するためのガス検知器の構造やメンテナンス法、取扱い上の注意などについて、実際に同社で製造している機材を使っての説明を頂きました。

 

この研修は2010年から3か年計画で実施されているもので、基本的には3年間同じ方に参加していただき、各国のHNS災害対応の中核となる方を育成することを目的としています。今回の研修でも8名中6名は昨年から継続して参加しており、すでに気心の知れた様子で和気あいあいとした研修となりました。

 

実際の海上災害の現場では、発生場所によっては国境を越えて被害が拡散する可能性も少なくありません。そんなときにもこの研修で育んだ人間関係で、円滑・迅速かつ安全に対応できるようになることを期待しています。

 

<問い合わせ先>

日本海難防止協会

企画国際部 国際室

志水 知也

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